スーパーや青果店の店頭から最近消えたものがあります。それは、2歳1カ月の息子の好物イチゴです。シーズン終了なのです。もうイチゴとはさよならだと、息子にきちんと伝えねばと思いつつも、いまだ近隣スーパーをはしごして探してしまいます。
昨冬以来、イチゴは食費を圧迫し続けてきました。イチゴ以外にも太刀魚(息子命名ピカピカの魚)、ホタテ貝柱など息子の好物は我が家のエンゲル係数をぐいぐい押し上げます。より新鮮なもの、美味しそうなものを求める親心もそれに拍車をかけます。
息子は朝晩の食事どき、「きょうは何かな~」と言いながらハイチェアーによじ登り、イチゴなど好物を発見すると「お!おぉ!? おいしそう~。ごちそうだ、ごちそうだ~」と喜びます。口調はおっさんですが、天使の笑顔になります。
以前、老舗の喫茶店を取材したときのことです。そのお店は、どちらかというと本格志向の大人向きで、落ち着いた雰囲気。看板メニューのコーヒーや甘味を味わいながら、お店に懸けるご主人の情熱を聞いていました。
こんなにおしゃれで落ち着いたお店、子連れじゃなかなか来れないよなあ…と思いながら、恐る恐る尋ねると「お子様連れでも、個室もありますし、大丈夫です」との返事。さらにご主人はこう続けました。「お食い初めや七五三でうちのお店を使ってくださるお客さんもいます。ちゃんとした親御さんのお子さんは、2歳でも3歳でも、ちゃんと座っていられますよ」
その言葉を聞いて、ドキッとしました。「うちの子は大人の雰囲気のお店でちゃんと座っていられない」というのは、実はそうではなくて、「私は、大人の雰囲気のお店で、ちゃんと子供を座らせておくことができない」のでした。子供のせいにして「できない」と決めつけるのは、親の怠慢だったんだな…と反省しました。