アットエスパスポート

会員限定コンテンツ

この人に聞きたい 日本のいま
哲学者 鞍田 崇さん

聞き手 静岡新聞社会部・佐藤章弘

2019/07/08

「民芸」再評価
「身近でより良く」に希望

 「民芸」への注目が近年、高まっている。とりわけ、若い世代から好意的に受け入れられているという。民芸とは民衆的工芸の略称で、思想家の柳宗悦(1889~1961年)らが100年ほど前に生み出した造語。彼らは名も無き職人の手によって作られる日用品に新たな価値を見いだした。今なぜ民芸なのか。再評価の背景に何があるのか。民芸を通じて社会のありようを探る明治大理工学部の鞍田崇准教授(哲学)に尋ねた。

 民芸の魅力とは

鞍田 崇(くらた・たかし)さん
 ©静岡新聞社

 「生活という場に光を当てたことだ。しかも、単なる思想や理念だけでなく、物の具体的な存在に注目した点は、インターネットの普及によりリアルな体験が希薄化しかねない現代だからこその意義もあると思う。バブル期のように満足感や幸福度を『外へ、外へ』と追い求める姿勢とは異なり、地味で当たり前の存在と思われてきた日常にこそ、むしろ面白みや創造性を感じる感覚が出てきた。それに応えるものとして民芸が再発見されたのではないか。環境問題への意識の高まりにも後押しされたとも言えるだろうが、特にこの10年ぐらいは、ものづくりや地方への関心が高まっていることも大きいだろう。もともと民芸は地域性の強い世界で、基本理念として手仕事に軸足を置く。他のものづくりと比べスタンスが明快で、アピールする部分が多くあったのでは」

【@Sパスポート会員限定】

続きを読むには、静岡新聞社・静岡放送のデジタル会員組織「@S(アットエス)パスポート」の会員登録(無料)が必要です。
メールアドレスとパスワードを設定するだけで簡単に会員登録が行えます。

> 会員登録/ログインして
続きを読む(無料)
> 一覧へ戻る