五輪聖火 静岡県選出枠75人公表
3月25日に福島県をスタートした東京五輪の聖火リレーはあす5月1日、沖縄に渡ります。静岡県内では6月23~25日、22市町26区間でトーチをつなぎます。県選出のランナー75人公表されたタイミングで改めてコースなど全貌をまとめてみました。
〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・松本直之〉
▶静岡の聖火リレー 詳細は(6月22日)
東京五輪聖火リレー 静岡県内走者75人を公表
新型コロナウイルスの影響で延期された東京五輪聖火リレーに関し、静岡県実行委員会は29日までに、県内区間を走る県選出枠のランナー75人を公表した。公募ランナーは61人で、病死した熱海市の男性を除いて同じ人選とし、補欠だった同市職員加藤瑠璃子さん(36)を新たに選んだ。推薦ランナーは県内ゆかりの著名人4人と中高生グループ1組10人の計14人で延期前と変更はない。
リレーの人選は延期前に決めたランナーを原則維持した。内訳は男性45人、女性30人。このうち障害のある人は19人で、全体の4分の1を占める。最年少は藤枝市の植田心子さん(13)と静岡市の国分遼平さん(13)、最年長は同市の市川綾子さん(90)。
新たに出場が決まった加藤さんは、県を通して「ランナーとして参加することで友人や職場、地域の子どもに、大会への関心を持っていただけると思う」とコメントした。
推薦ランナーを務める著名人は、アイドルグループ「ももいろクローバーZ」の百田夏菜子さん(26)=浜松市出身=ら。観客の密集による感染拡大を防ぐため、公道以外の場所を走るという。
1組10人のグループランナーは、19年の全国中学校体育大会陸上男子400メートルリレーで優勝した当時の町立吉田中陸上部員4人など。
県選出枠にスポンサー選出枠を加えた総ランナー数は282人となる。
■「生徒に夢を」決意の聖火 磐田豊田中教諭・福永将さん
「コロナ禍の生活を送る生徒たちに、希望や夢を持ってもらいたい-」。聖火リレーランナーの公表を受け、走者の一人、磐田市立豊田中の保健体育教諭福永将さん(30)は決意を新たにした。教育現場は今もコロナに対する緊張と隣り合わせ。生徒の笑顔を原動力に、6月の大舞台へ自らを奮い立たせる。
磐田豊田中はスポーツ庁の委託で県が指定するオリンピック・パラリンピック教育推進校の一つ。車いすバスケなど障害者スポーツの競技者を招いて講義や実技指導を受けるなど、世界的スポーツの祭典に向けて校内で機運醸成を図ってきた。19年12月には、自身が聖火ランナーの一人に選出されたことも弾みになった。
しかし、20年に入り状況は変わった。新型コロナウイルスの感染拡大で、学校は臨時休校に追い込まれた。新学期以降の修学旅行の延期対応や各種行事の中止-。5月下旬の授業再開後も「生徒の感染防止対策や授業の確保を含め、日常を成り立たせることが最優先。当時は五輪のことは頭から離れていた」と振り返る。
ことし3月25日に福島県でスタートした聖火リレー。4都府県の緊急事態宣言再発令もあり、「中止になるのかも」と冷静に見守った。今回の聖火ランナー公表には、「再びチャンスを与えてもらい、非常に光栄に思う」と静かに使命をかみしめる。
多くの生徒に聖火を手に走る姿を沿道で見てもらいたいのが本音だ。が、密回避のため、それは難しいと考えている。それでも、担任する1年生の学級の注目は高く、榊原怜奈さん(12)は「明るくクラスを盛り上げてくれる先生。磐田の代表として輝いて走ってもらいたい」と期待を込める。
福永さんは「仲間の大切さや周囲の支えへの感謝など、スポーツから学ぶものは多い」と強調し、「生徒が五輪をより身近に感じるきっかけになれば」と願っている。
静岡県内の聖火リレー 県選出枠75人は…
五輪聖火リレー 静岡県内は6月23~25日
東京五輪・パラリンピック組織委員会は2日、新型コロナウイルスの影響で大会と共に延期された五輪聖火リレーの詳細ルートを公表した。3月25日に福島県を出発し、静岡県内では6月23~25日に延期前の当初計画と同じ22市町26区間で行う。組織委の簡素化方針に基づき、聖火の区間移動を効率化するため、市町の回り順を一部変更した。延期前の計画と比べ、1日当たりの所要時間を短縮する。
聖火を次の区間に移動する際は、ランタンに入れて車両で運ぶ。聖火の車両移動中は本ルートから離れた場所でも、あらかじめ聖火から取った火と別のトーチを使ってリレーできる特例を採用する。こうした「特殊区間」を当初計画よりも五つ増やして11区間とし、時間短縮につなげる。
既に決定済みの聖火ランナーは原則維持される。県によると、県選出枠のランナーは現時点で、著名人を含め辞退者はいない。
川勝平太知事は「コロナ禍でも安全安心に実施できるよう万全の準備を進める」とコメントした。
〈2021.3.3〉
聖火は昨年、ギリシャから宮城・航空自衛隊松島基地に到着した
■聖火 日本到着 「復興の火」被災地で披露
聖火は20日午前、予定を早めて松島基地に到着した。共に五輪3連覇を達成した柔道男子の野村忠宏さんとレスリング女子の吉田沙保里さんが聖火リレーのトーチを使い、聖火皿に点火。暴風警報が発令される中、空自のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」が基地上空に描いた五輪マークは、強風のためすぐに流された。
到着を祝う式典で、大会組織委員会の森喜朗会長は、地元小学生ら約200人の参加を取りやめたことなどを念頭に「地元の人と共に出迎えたかったが、安全第一に苦渋の決断をした」とあいさつ。強風の影響で、橋本聖子五輪相ら一部出席者の会場入りが遅れた。
同日午後には、石巻南浜津波復興祈念公園に運ばれ「復興の火」としての巡回展示がスタート。宮城県の村井嘉浩知事は展示に先立ち「復興の火は、これからも続く復興に大きな力となる」と述べた。(静岡新聞2020年3月21日朝刊)
※聖火はギリシャ西部オリンピアで2020年3月12日に採火された。その後、アテネまで同国内を聖火リレーする予定だったが、感染拡大を受けて翌日中止され、そのままアテネに運ばれた。