気分上がる↑文房具 トレンドは…
日常生活で何げなく使っている文房具。字を書く、絵を描く、紙を切り貼りするといった便利な道具としてだけでなく、生活を豊かにし、気分を上げたり癒やされたりするアイテムでもある。新生活のスタートを受け、4月に新調する人も多いのでは? 最新トレンドや文房具店員が薦める商品などを紹介する。
〈文化生活部・鈴木侑季〉
トレンド イラストレーターに聞く
文房具専門店や大型書店などの“文房具のプロ”が審査員を務め、新商品の中から優れた品を選定する「文房具屋さん大賞2021」(扶桑社)。特別コメンテーターを務めたイラストレーターの萩原まおさん(39)=静岡市葵区=は無類の文房具好き。筆記用具、ノート、ペンケースの最新事情を教えてもらった。
萩原さんは「コロナ禍前からの手書きブームやインクブームが、筆記用具のトレンドに影響を与えている」と指摘する。これらのブームでインクを使って書く万年筆やガラスペンなどの人気が高い。からっぽペンは余りがちな手持ちのインクを楽しみながら消費できる。特別感のある万年筆とは異なり、普段使いのカラーペンとして使えるのも魅力だ。
「多様化が進んでいる」と驚くのはノート。「さらさら」「つるつる」「ざらざら」など、ペンを走らせたときの書き心地を強調した商品が出ている。「消費者のニッチなニーズに応えている日本のメーカーはすごいし、選べることが楽しい」。インクブームを受けてインクの裏抜けやにじみが起こらない1冊千円以上の高級ノート、スリットなどによってページを抜き差しできるノートも需要が高いという。
SNS(会員制交流サイト)の時代を反映するのがペンケース。中身が一目瞭然の透明な“見せるペンケース”が人気。自慢の文房具を周囲にアピールでき、SNSに写真を載せる人も多いという。
国内外の文房具店を見てきた萩原さんは「静岡は店員さんの努力や文房具に対する愛情が感じられる地元密着の文房具店が多い。ぜひ店に足を運んで選ぶ楽しさを感じてほしい」と話した。
はぎわら・まお 1981年、静岡市生まれ。静岡大教育学部芸術文化課程美術・デザイン専攻科を卒業後、市内の保育用品メーカーなどでイラストを制作。2017年に独立し、印刷物、ウェブサイト、雑誌掲載用などのイラストやデザインを手掛ける。
お薦めアイテム 専門店に聞く
静岡県中西部に12店舗を展開する「Mr.ぶんぐ」は幅広い世代に支持される文房具店。藤枝店の浅井優子店長に用途や環境に応じた3テーマでお薦めアイテムを選んでもらった。
学習
子どもに目が届く場所で勉強してほしい家庭が増えていると実感する浅井店長が薦めるのは「リビガク LEDデスクライト 調光機能付 目にやさしい面発光」(ソニック、4180円)。「リビングなどで学習するときに光を補え、角度や位置も調整できる。明るいけれどまぶしくない快適な光」。「トキ・サポ 時っ感タイマー 10cm 色で時間の経過を実感」(ソニック、2420円)は時間を意識して学習することで、やる気や集中力を高めるアイテム。視覚的に時間の経過を把握できる工夫がされている。
リモートワーク
「ブックメイト」(レイメイ藤井、2200円)は資料やタブレットを立て掛ける書見台。パソコンの横に置いて使うと便利という。「WWホワイトボードノートB5」(学研ステイフル、1320円)はノート型のホワイトボード。オンライン会議で説明するとき、視覚的に情報を伝達できて繰り返し使用可能。B6サイズは880円。「自立もでき、TODOリストとしても活用できる」
おうち時間
「めくっておぼえる にほん地図」(コクヨ、1100円)は都道府県をめくりながら、位置や名産品を学べる絵本。「脳ブロック」(テンヨー、880~1320円)は、さまざまな形のピースをケースにぴったりはめるパズル。レベル1~5まであり、正解パターンは何百から何万通りある。浅井店長は「この1年は家族全員で楽しめるアイテムの動きが好調で、ギフト需要も高まっている」と話した。
色名に にじむ地元愛
富士山本宮浅間大社に程近い場所に店を構えて100年以上の老舗文具店「文具の蔵Rihei」(富士宮市)は、富士山や富士宮やきそばなどをイメージした万年筆のオリジナルインク「宮洋墨[みやいんき]」を販売している。社長の吉沢祐太さん(47)は「文房具という誰でも使う身近な物で地元を盛り上げたい」と熱い思いを語る。
オリジナルインク販売以前から、富士山で育ったヒノキを使ったボールペンやシャープペン、印鑑を手掛けるなど、地元と共に歩んできたRihei。吉沢さんは「宮洋墨を求めに当店に来る人もいる。さらに地元にちなんだ文房具を増やし、富士宮の魅力を伝えていきたい」と話した。