知っとこ 旬な話題を深堀り、分かりやすく。静岡の今がよく見えてきます

サッカーJ2ライセンスも獲得 アスルクラロ沼津ってどんなクラブ?

 静岡県の中部にはエスパルスが、西部にはジュビロがあるのに、どうして東部にはJリーグのクラブがないの? こんな思いを秘めていた少年時代の自分に教えてあげたい「アスルクラロ沼津」。今年度は念願のJ2ライセンス交付も決まり、J3リーグの最終盤まで奮闘しています。ますます健闘が期待できそう、したくなっちゃう—そんなクラブの歩みをちょこっと振り返ります。

2024年シーズンのJ2ライセンス取得 昇格へ結束

 サッカーJリーグは24日、3部(J3)アスルクラロ沼津に来季のJ2ライセンスを新たに交付すると発表した。

アスルクラロ沼津のホーム戦で熱のこもった応援を送るサポーターら=沼津市の愛鷹広域公園多目的競技場
アスルクラロ沼津のホーム戦で熱のこもった応援を送るサポーターら=沼津市の愛鷹広域公園多目的競技場
 施設基準で例外規定を適用し、上位2位以上で昇格実現後、基準を満たすスタジアムを5年以内に新設し、供用を開始するとの条件をつけた。沼津のほか、今治や奈良など6クラブに、同様の例外規定でライセンスが交付された。
 J2ライセンスには、8千席以上の観客席と、全客席を覆う屋根が必要。ホームの県営愛鷹広域公園多目的競技場(沼津市足高)の観客席は現在5千席で、屋根の取り付けは技術的なハードルが高いという。
 アスルクラロスルガの高島雄大社長は「昨年のJリーグライセンス喪失危機を経てクラブ史に残る念願の交付。2024シーズンのJ2の舞台に向けて一戦一戦、さらに結束し全力で戦う」とコメントした。
(東部総局・日比野都麦)
〈2023.10.25 あなたの静岡新聞〉

静岡県東部初のJクラブとして誕生

 静岡県東部にJクラブ誕生へ-。サッカーのJFL参戦3年目のアスルクラロ沼津がJ3参入に必要な年間通算順位4位以内を確定させた(※2016年11月)13日、沼津市の愛鷹広域公園多目的競技場に駆け付けた約4300人は歓喜に沸いた。試合終了後、選手とサポーターは勝利のラインダンスで悲願達成の喜びを分かち合った。

最終節の勝利でJFL3位が確定し、歓喜するアスルクラロ沼津のサポーター=(※2016年11月)13日午後、沼津市の愛鷹広域公園多目的競技場
最終節の勝利でJFL3位が確定し、歓喜するアスルクラロ沼津のサポーター=(※2016年11月)13日午後、沼津市の愛鷹広域公園多目的競技場
 前半11分、こぼれ球に反応した薗田卓馬選手が先制点を決めると、バックスタンドのサポーターの熱気は一気に高まった。他のチームの結果に左右されず4位以内を確保するには2点差以上の勝利が必要だった。「アスルクラロ」のコールは一段と大きくなり、メインスタンドにも広がった。
 3-0で迎えた後半。相手にヘディングシュートを決められたが、試合終了の笛がピッチに鳴り響くと、会場には歓声が沸き起こった。サポーターをまとめる団体「沼津ダラーズ」の渡辺高久代表(33)は「アスルクラロを通して東部地域が活性化してほしいという思いで応援してきた」と感無量の表情だった。
 沼津がJFLに参戦した2014年からボランティアとしてホーム戦で観客の誘導を担当する沼津市出身の会社員荻野浩樹さん(47)は、観客が千人を切ることもあった3年前を振り返り、「人が集まるようになり、県東部にも少しずつサッカー文化が根付いてきた」と感慨深げに語った。
 ホーム戦をほぼ全て観戦しているアスルクラロ伊豆ジュニアユースの桑原健成さん(14)は「来季はプロの試合が見られるようになり、勉強になる」と声を弾ませた。
アスルクラロ沼津
 本拠地は沼津市。1977年に有志が集まって沼津アーセナルを結成したのが始まり。県東部で初のJリーグクラブを目指して活動し、県、東海社会人リーグを経て2014年からJFLに参戦した。幼稚園からジュニアユースまでの育成組織がある。地域に根差したクラブを目標に掲げ、地元の学校でのサッカー教室や地域貢献活動も積極的に行っている。
(中川琳)
〈2016.11.14 静岡新聞夕刊〉

ピッチ内外で「中山ゴン効果」 現監督も選手としてプレー

 サッカーの日本フットボールリーグ(JFL)アスルクラロ沼津で今季中の選手登録を目指すサッカー元日本代表FW中山雅史氏(47)が5日、沼津市内で行った同チームの練習に初参加した。
 
 中山氏は契約する専属トレーナー2人を連れ、開始1時間以上前にグラウンドに姿を見せた。両膝など古傷の状態をチェックし、Jリーグ2部(J2)コンサドーレ札幌時代以来2年9か月ぶりの本格的な練習に臨んだ。
 報道陣は約30人。中山氏は沼津の選手に「足手まといにならないように、一生懸命やるのでお願いします」とあいさつ。約1時間、実戦形式の練習に加わったほか、シュート練習していた若手選手にアドバイスした。「ピリッとした雰囲気で、サッカーを愛しているメンバーだということを感じた。その中に自分も精いっぱいを出して応えないといけないと思った」と練習参加の感想を述べた。
 沼津の尾崎瑛一郎選手(30)は「存在だけでも大きいのに、大きな声を出してもらい、いい雰囲気をつくってくれた」と話した。同じグラウンドで練習していた下部組織の保護者が写真撮影を求めるなど、ピッチ外でも“ゴン効果”が表れた。
 今後についてチームの山本昌邦会長(57)は「ハードルはあるが、多くの人が中山をピッチに立たせたい夢を持っている。選手登録にたどり着きたい」と話した。2012年12月の“引退会見”で現役復帰を示唆していた中山氏。「今後もやれることをやりつくしたい。変な言い方ですけど(現役続行を)諦めるためにやっている」。現役へのこだわりは以前に増して強くなっている。

沼津の練習に参加し、精力的にプレーする中山雅史氏=(※2015年9月)5日午前、沼津市足高のアスルクラロセレステグラウンド
沼津の練習に参加し、精力的にプレーする中山雅史氏=(※2015年9月)5日午前、沼津市足高のアスルクラロセレステグラウンド
(大山雄一郎)
〈2015.9.6 静岡新聞朝刊〉

 

地域貢献にも熱く 児童と「キャンプイン」

 サッカーJ3アスルクラロ沼津が24日まで、静岡県内外の小学生5人を迎えたサマーキャンプを開いている。選手数人が「サッカーの楽しさやプロ選手を身近に感じてほしい」と企画。練習を通して児童との交流の場にもなっている。

前川選手(左から3番目)と昼食を取る児童=裾野市の時之栖スポーツセンター裾野グラウンド
前川選手(左から3番目)と昼食を取る児童=裾野市の時之栖スポーツセンター裾野グラウンド
 キャンプは3日間。児童は選手から直接指導を受けながら、練習に取り組んでいる。MF持井響太選手は「5月ごろから企画して、どう楽しんでもらおうか考えた。子どもたちは素直に質問し、吸収力がある」と話した。
 23日の練習後には、児童とDF前川智敬選手が一緒に昼食を食べた。持井選手らからシュートやフェイントのこつを聞いたという東京都の橋本新君(9)は「試合を想像して練習するといいとアドバイスをもらった」と話した。チームのファンという沼津市の藤田紘太朗君(7)は「選手の練習はきつそうだった。これからもサッカーを頑張りたい」と意気込んだ。
(東部総局・日比野都麦)
〈2023.8.24 あなたの静岡新聞〉
地域再生大賞