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冠水したアンダーパスに注意 命を守るために必要な行動は

  鉄道などの下をくぐる掘り下げ式の道路「アンダーパス」。短時間で冠水しやすく、今回の台風2号による記録的大雨でも、車両が水没する事故が起きています。車を運転中に誤って入ってしまうと、吸気口やマフラーから浸水し走行できなくなったり、車から出られなくなったりして命の危険にさらされる可能性があります。もしもの時に注意すべきポイントをまとめます。

謝って入り込んだらどうする? 対処法を聞きました

 車を運転中、誤って冠水したアンダーパスなどに入り込んだ場合はどうすべきか。JAF(日本自動車連盟)静岡支部(静岡市駿河区)に対処法を聞いた。

大雨時に冠水した国道414号の通称「三つ目ガード」。これまでも度々、冠水被害が発生してきた=2020年7月26日、沼津市三芳町(写真の一部を加工しています)
大雨時に冠水した国道414号の通称「三つ目ガード」。これまでも度々、冠水被害が発生してきた=2020年7月26日、沼津市三芳町(写真の一部を加工しています)
 車に常備しておくと安心なのは、脱出用ハンマー。一定の水位に達すると、水圧やパワーウインドーの故障でドアや窓が開けなくなる。車は強化ガラスや合わせガラスのため、ガラスを割って脱出する場合は特殊なハンマーが必要。カー用品店などで購入できる。
 水深15センチ程度でも車は動く場合があるが、「車種によってエンジンの吸気口、排気口の位置は違い、エンジン内に水が入る可能性がある。冠水したら無理に進まないことが大切」(担当者)という。
 JAFはホームページで水没時の対処法を動画などで紹介している。(東部総局・尾藤旭)
〈2023.3.26 あなたの静岡新聞〉

車立ち往生防止へ 「冠水注意を」路面に舗装、水深表示

「水深1m」などの文字に赤や黄色のカラー舗装を組み合わせ、冠水時の注意を呼びかける表示=20日、沼津市杉崎町
「水深1m」などの文字に赤や黄色のカラー舗装を組み合わせ、冠水時の注意を呼びかける表示=20日、沼津市杉崎町
 ※2023年3月26日 あなたの静岡新聞から
 近年頻発化、激甚化する豪雨災害。鉄道などと立体交差するために掘り下げている道路「アンダーパス」は短時間で冠水しやすく、2022年9月の台風15号による大雨災害では、静岡県内でも車が水没するといった被害が起きた。県は過去に冠水した沼津市の2カ所に平常時から注意を呼びかける新たな舗装を施し、今後は県全体に広げて被害軽減を狙う。
 沼津市には、JR沼津駅を挟むように主要道路が東海道線をくぐり抜ける場所がある。国道414号の通称「三つ目ガード」と、県道沼津停車場東沢田線の「あまねガード」と呼ばれるアンダーパスだ。ともに大雨時にしばしば冠水する被害に悩まされている。
 県は今年2月、両アンダーパスに走行車両の運転手に注意を呼びかけるカラー舗装を施した。アンダーパスの入り口付近に「冠水注意」と表示をした上で、冠水した場合、その地点がどれくらいの深さになっているか分かるよう「水深1m」「水深50cm」「水深15cm」と3段階表記も実施。目立つように赤や黄色で舗装した。
 工事を担当した県沼津土木事務所によると、両アンダーパスは過去に50センチ程度浸水し、車が立ち往生した例がある危険な場所。入り口付近には大雨時に通行止めを表示する幕式の標識もある。同事務所の渡辺克仁工事第1課長は「特に三つ目ガードの南側はカーブとなだらかな下りになっていて、冠水を察知しにくい。平常時から運転する方には意識してもらいたい」と訴える。
 県は、22年9月の台風15号による大雨で県中西部で地下道やアンダーパスが浸水する被害が出たことをきっかけに、新たな注意喚起の方法を探ってきた。カラー舗装は愛知県などで実例があり、予算も数百万円と比較的少額であることから、導入を決めた。
 県道路保全課によると、県が管理する道路で鉄道などと交差するアンダーパスは沼津市の2カ所を含め、全16カ所。県は24年度までに残る14カ所で対策を検討し、必要に応じて沼津市同様のカラー舗装を実施していく。
(東部総局・尾藤旭)

アンダーパス冠水、24時間監視 静岡市がネットで公開

静岡市の道路情報提供システム「しずみちinfo」で確認できるアンダーパスの冠水情報
静岡市の道路情報提供システム「しずみちinfo」で確認できるアンダーパスの冠水情報
 ※2016年6月3日 静岡新聞朝刊から
 静岡市は集中豪雨に備え、線路などの下をくぐる道路(アンダーパス)の冠水情報をセンサーなどで24時間監視するシステムを構築し、(2016年6月)2日から一部で運用を開始した。関係者へのメール配信で早期対応を可能にするほか、インターネット上の道路情報提供サイト「しずみちinfo」から市民も危険情報を確認できる。

 冠水が予想される市内のアンダーパスは19カ所。今回は2014年秋の台風18号に伴う豪雨でも冠水した清水区巴町など6カ所に水位確認カメラやセンサーを設置した。市役所静岡庁舎内の土木施設監視センターでは水位と画像情報を24時間監視する。
 路面より低い排水ポンプ槽にセンサーを備えたアンダーパスでは、車道に水が溜まる前に道路維持担当者らに異常を知らせることができる。18年度末までに残り13カ所の事業を終える予定。
 全国ではアンダーパスに車が進入して死亡事故が起きた例もあり、14年の豪雨では市内でも冠水が相次いだ。「しずみちinfo」は地図上に冠水の危険、通行止めなどを表示し、スマートフォンでも確認できる。
 市道路保全課の担当者は「雨の強い時などはサイトを確認し、万全の備えをしてほしい」と呼び掛けている。
(中村綾子)
地域再生大賞