世界最大のカニ「タカアシガニ」 特産地・沼津に深~い結びつき
“深海魚の聖地”と呼ばれる沼津市戸田は、タカアシガニの特産地として知られています。タカアシガニの生態や特産地となった要因、地元漁師が紡いできた伝統の漁など、沼津との深いつながりをまとめます。
生態解明、資源保護…地元小中学生が放流体験
沼津市商工会戸田支所は18日、生態解明と資源保護を目的にタカアシガニ約70匹を放流した。沼津市立戸田小中一貫校の5、6、7年生22人も地域学習プログラムの一環として参加し、地元の名産について知識を深めた。

児童らは、地元漁業関係者の指導を受けて準備作業から放流まで取り組んだ。全長30~100センチのカニの脚に日時や放流した場所が分かるようにタグを取り付け、計量や雄雌の判別を記録した。戸田港から船を出し、沖合約1キロ、水深150~200メートルほどの海域で、「大きくなってね」「元気な子どもを産んでね」などと言いながら脚が切れないようにゆっくりと放った。
駿河湾のタカアシガニの漁獲量は年々減っている。漁の時期や、捕獲ポイントも変動しているため研究素材として期待がかかる。
参加した6年生の濱野ひなさん(11)は「タカアシガニをたくさん増やして、地元の魅力をいろんな人に広めていきたい」と話した。(東部総局・田中秀樹)
〈2023.5.18 あなたの静岡新聞〉
駿河湾のタカアシガニの漁獲量は年々減っている。漁の時期や、捕獲ポイントも変動しているため研究素材として期待がかかる。
参加した6年生の濱野ひなさん(11)は「タカアシガニをたくさん増やして、地元の魅力をいろんな人に広めていきたい」と話した。(東部総局・田中秀樹)
〈2023.5.18 あなたの静岡新聞〉
駿河トラフは「宝庫」、深海生かした戸田の漁業守れ
※2013年12月12日 静岡新聞朝刊から

沼津市戸田の特産物として名高いタカアシガニは、水深200~300メートルの深海で生息する世界最大のカニ。大きな個体は、足を広げると3メートルを超える。
戸田は伊豆半島ジオパークのジオサイト(見どころ)の一つで、タカアシガニ漁はその特徴として紹介されている。地球の表面を覆うプレート(岩板)の沈み込みによって生まれた駿河湾特有の深海を生かした漁業だ。
戸田港を拠点にタカアシガニ漁を行っている深海底引き網船は、7隻。年々、後継者不足が深刻化している。漁から販売までを手掛ける水産会社「光徳」を経営する山田隆継さん(50)は「タカアシガニ漁は戸田の漁師が培った経験と勘がなせる技。地域の伝統を守らなければ」と力を込める。
幼い頃から、父親の漁を手伝いながらタカアシガニと触れ合ってきた。それだけに、この巨大なカニへの思い入れは人一倍強い。「『なぜこの地でタカアシガニが捕れるのか』といったうんちくや味覚を広めて、戸田の観光を盛り上げたい」
地質や地形に関する教育の場を提供するだけでなく、特有な大地が生み出す産業の活性化も、ジオパークの重要な取り組みだ。
漁は今が最盛期。夜明け前に出港した漁船が夕方、大量のタカアシガニを載せて戻ると、港は活気に満ちあふれる。
※内容は当時のまま
生物の宝庫、駿河トラフ
日本付近には4枚のプレートが複雑に折り重なっている。その中で伊豆半島は、本州で唯一、フィリピン海プレートに位置する。
フィリピン海プレートは今も年間数センチ単位で北西方向に移動していて、ユーラシアプレートの下に沈み込み続けている。プレートの境界は「駿河トラフ」と呼ばれ、世界でも類を見ない深海生物の宝庫となっている。
沼津市戸田の駿河湾深海生物館には、戸田沖の水深120メートルに仕掛けた刺し網に掛かった「サケガシラ」や古代ザメの一種の「ラブカ」など約300種の珍しい深海生物の剥製や標本が展示されている。
深海魚は地元の重要な観光資源にもなっている。飲食店や土産店では、トロボッチ(メヒカリ)やメギスなどの深海魚のすり身を100%使った地元漁師の家庭料理「へだトロはんぺん」を販売している。(豊竹喬)
※内容は当時のまま
戸田は伊豆半島ジオパークのジオサイト(見どころ)の一つで、タカアシガニ漁はその特徴として紹介されている。地球の表面を覆うプレート(岩板)の沈み込みによって生まれた駿河湾特有の深海を生かした漁業だ。
戸田港を拠点にタカアシガニ漁を行っている深海底引き網船は、7隻。年々、後継者不足が深刻化している。漁から販売までを手掛ける水産会社「光徳」を経営する山田隆継さん(50)は「タカアシガニ漁は戸田の漁師が培った経験と勘がなせる技。地域の伝統を守らなければ」と力を込める。
幼い頃から、父親の漁を手伝いながらタカアシガニと触れ合ってきた。それだけに、この巨大なカニへの思い入れは人一倍強い。「『なぜこの地でタカアシガニが捕れるのか』といったうんちくや味覚を広めて、戸田の観光を盛り上げたい」
地質や地形に関する教育の場を提供するだけでなく、特有な大地が生み出す産業の活性化も、ジオパークの重要な取り組みだ。
漁は今が最盛期。夜明け前に出港した漁船が夕方、大量のタカアシガニを載せて戻ると、港は活気に満ちあふれる。
※内容は当時のまま
生物の宝庫、駿河トラフ
日本付近には4枚のプレートが複雑に折り重なっている。その中で伊豆半島は、本州で唯一、フィリピン海プレートに位置する。
フィリピン海プレートは今も年間数センチ単位で北西方向に移動していて、ユーラシアプレートの下に沈み込み続けている。プレートの境界は「駿河トラフ」と呼ばれ、世界でも類を見ない深海生物の宝庫となっている。
沼津市戸田の駿河湾深海生物館には、戸田沖の水深120メートルに仕掛けた刺し網に掛かった「サケガシラ」や古代ザメの一種の「ラブカ」など約300種の珍しい深海生物の剥製や標本が展示されている。
深海魚は地元の重要な観光資源にもなっている。飲食店や土産店では、トロボッチ(メヒカリ)やメギスなどの深海魚のすり身を100%使った地元漁師の家庭料理「へだトロはんぺん」を販売している。(豊竹喬)
※内容は当時のまま
伝統の“トロール漁”で水揚げ どんな漁?
※2022年9月9日 あなたの静岡新聞から

“深海魚の聖地”と呼ばれる沼津市戸田で(※2022年9月)8日、今季のトロール(底引き網)漁が始まった。特産のタカアシガニをはじめ、深海に生息する魚やエビが次々と水揚げされた。漁期は来年5月中旬まで。
解禁日の同日午前3時半ごろ、戸田漁港から6隻が出発。午後4時ごろから続々と帰港し、本エビやタカアシガニ、ユメカサゴなどを水揚げした。漁船「日の出丸」の大村真史さん(45)によると、悪天候の影響もあり、「初日の取れ高はいまいち。狙いのエビは去年の半分以下だった」と話した。ただ「無事に網を出せて良かった。これから先に期待したい」と笑顔を見せた。
トロール漁は、片側1400~1600メートルのロープの先に三角形の袋網をつけ、船で引いて海底の魚介類を捕獲する漁法。水深2500メートルの駿河湾が眼前に広がる戸田では昔から盛んに行われている。水揚げされた深海魚は地元の飲食店や沼津魚市場に出荷する。(山川侑哉)
解禁日の同日午前3時半ごろ、戸田漁港から6隻が出発。午後4時ごろから続々と帰港し、本エビやタカアシガニ、ユメカサゴなどを水揚げした。漁船「日の出丸」の大村真史さん(45)によると、悪天候の影響もあり、「初日の取れ高はいまいち。狙いのエビは去年の半分以下だった」と話した。ただ「無事に網を出せて良かった。これから先に期待したい」と笑顔を見せた。
トロール漁は、片側1400~1600メートルのロープの先に三角形の袋網をつけ、船で引いて海底の魚介類を捕獲する漁法。水深2500メートルの駿河湾が眼前に広がる戸田では昔から盛んに行われている。水揚げされた深海魚は地元の飲食店や沼津魚市場に出荷する。(山川侑哉)
甲羅飾り無病息災願う 沼津港深海水族館に神社
沼津市千本港町の沼津港深海水族館は9日まで、魔よけや厄よけ、無病息災の御利益があるとされる駿河湾特産のタカアシガニの甲羅を飾った「タカアシガニ神社」を設置している。

タカアシガニの特産地である同市戸田地区では、大正時代から甲羅に鬼などの絵を描き、魔よけや厄よけのお面として各家庭の玄関などに飾る風習があるという。手作りの赤い鳥居の下に生きたタカアシガニの水槽、シーラカンスを抱えたえびす天、正月にちなんで七福神が描かれたタカアシガニの甲羅のお面を設置して神社に仕立てた。
鳥居の上には全長約160センチのタカアシガニの剝製も掲げた。飼育・展示担当の羽賀一平さんは「地域に伝わる風習を知ってほしい。ど迫力の剝製にも目を向けてもらえれば」と話した。(東部総局・菊地真生)
〈2023.1.1 あなたの静岡新聞〉
鳥居の上には全長約160センチのタカアシガニの剝製も掲げた。飼育・展示担当の羽賀一平さんは「地域に伝わる風習を知ってほしい。ど迫力の剝製にも目を向けてもらえれば」と話した。(東部総局・菊地真生)
〈2023.1.1 あなたの静岡新聞〉