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「赤がえる」復刻した岳南電車 20年前を振り返ります

 富士市の岳南電車が、緑色だった8000形車両の車体を、引退した5000形(愛称「赤がえる」)の朱色に塗り直して再出発させました。約20年前の懐かしい旧「赤がえる」の姿や、新「赤がえる」の入線当時の様子などを振り返ります。

入線20周年で塗り直し「心機一転」

 富士市の岳南電車(通称・岳鉄)は12日、8000形車両の車体を緑色から引退した5000形の「インターナショナルオレンジ」に塗り直して再出発させた。8000形と入れ替わるように引退した5000形の懐かしい色の復刻に、鉄道ファンが沸いている。

朱色の復刻デザインに生まれ変わった岳鉄8000形電車=富士市の岳南電車吉原駅
朱色の復刻デザインに生まれ変わった岳鉄8000形電車=富士市の岳南電車吉原駅
 これまで緑色だった8000形は「夜景電車」を中心に運行している。12月に入線20周年を迎えるのに合わせ、「赤がえる」の愛称で2002年までの約20年間親しまれた5000形の朱色に模様替えした。
 同日に吉原駅で出発式が開かれ、橘田昭社長は「岳鉄といえば朱色。節目に心機一転の思いを込めた。過去の思い出が再び動き出す」と述べた。
 式典には多くの鉄道ファンが詰めかけ、夢中でシャッターを切った。解体された5000形の部品を所有するという神田隆文さん(65)は「エアコンがなくて夏は窓全開で走っていた5000形を思い出す」と話した。
 式典後の夜景電車から新塗装の8000形の運行を開始。乗客は工場夜景の間を走る“新赤がえる”に喜びをかみしめた。
 〈2022.11.13 あなたの静岡新聞〉

愛された旧「赤がえる」 過去には祭りも

 ※2000年10月15日 静岡新聞朝刊より

特別運行された「赤がえる」(2000.10.13静岡新聞朝刊より)
特別運行された「赤がえる」(2000.10.13静岡新聞朝刊より)
 岳南鉄道(富士市)沿線の活性化事業「赤がえるまつり」(岳南鉄道、富士地域交流サロン主催)が十四日、岳南富士岡、比奈、吉原本町の三駅で行われた。地元の農協、製紙会社、観光、商店街、まちづくり市民グループの関係者らが協賛し、沿線の豊富な地域資源をPRした。
 富士県行政センターが十一年度に取り組んだ地域振興推進事業「岳南鉄道沿線のにぎわい創出」の一環。「赤がえる・まちづくり懇話会」の提言を踏まえ、活性化の具体化を目指して同サロンを設け、「鉄道の日」に合わせて初めて開いた。
 メーン会場の岳南富士岡駅では、とれたて野菜や花、菓子、茶などの特産品を販売したほか、岳南鉄道の鉄道用品、記念乗車券を販売した。
 紙製品、竹炭、竹細工、沿線に点在する湧(わ)き水散策コースを紹介。岳南鉄道の歴史などを取り上げたコーナーも設けた。
 機関車、電車の写生大会、機関車教室も行われ、地元小学生らが授業の一環として参加。昭和五十四年から一昨年十二月まで運行され、現役時代「赤がえる」のニックネームで親しまれた人気車両などに触れた。
 岳南鉄道はこの日、「赤がえる」を特別運行したほか、全線一日フリー乗車券を発行。親子連れなどでにぎわった。

新「赤がえる」前の姿は 2002年出発式の様子

 ※2002年11月17日 静岡新聞朝刊より

新車両の「がくちゃんかぐや富士」の出発式で沿線住民代表らがテープカットした=富士市の岳南鉄道吉原駅(2002.11.17静岡新聞朝刊より)
新車両の「がくちゃんかぐや富士」の出発式で沿線住民代表らがテープカットした=富士市の岳南鉄道吉原駅(2002.11.17静岡新聞朝刊より)
 一般公募で愛称が「がくちゃんかぐや富士」と決まった岳南鉄道の新電車の出発式が十六日、富士市の岳鉄吉原駅で行われ、沿線住民代表や愛称の選考委員も務めた鈴木尚市長、大沢由紀子富士県行政センター所長らがテープカットして導入を祝った。十二月から営業運転を始める。
 出発式には高橋義典社長や市立今泉小一年の川辺康介君(今泉)ら愛称の命名者も出席し、式の後、比奈駅とを往復する試乗会も行われた。吉原駅には数十人の鉄道マニアが集まり、沿線でも早速、カメラに収めるファンの姿が見られた。
 8000形新電車は京王電鉄井の頭線で使われていた車両の改装車で、二両編成、定員二百六十四人。車いすスペースも設けられ、車内放送では観光案内も流す。沿線にゆかりのある竹取物語にちなみ、シンボルカラーに若竹の明るい緑色が、ヘッドマークにはかぐや姫のイラストが、それぞれ採用された。
地域再生大賞