伝統遠州縞に新たな風を ブランド化へ「格子柄」提案 浜松

 浜松市周辺の伝統的な綿織物で江戸時代から見られる模様「遠州縞(じま)」の魅力発信に取り組むNPO法人遠州縞プロジェクト(浜松市中区)は、従来の遠州縞を基礎に緯糸(よこいと)を織り交ぜた新たなデザイン「遠州格子」のブランド化に乗り出した。5月頃にお披露目会を予定していて、関係者は「織物市場に新たな風を吹き込みたい」と意気込みを語る。

完成した生地を前に商品化に向けて意見交換する制作者ら=浜松市中区の東部協働センター
完成した生地を前に商品化に向けて意見交換する制作者ら=浜松市中区の東部協働センター


 10日夜、東部協働センター(同区)に集まったプロジェクトの関係者が、新たに考案された生地を持ち寄り、販売に向けての検討会を開いた。
 デザインを担当したのは静岡県西部を中心に活動する画家やグラフィックデザイナーら6人。桜の花を眺めながら茶を楽しむひとときをコンセプトに仕上げた生地や、既存の遠州縞に「三ケ日みかん」のイメージを掛け合わせようとオレンジ色の緯糸を配した生地など創意工夫あふれる計6点が仕上がった。
 遠州格子柄の制作は小野江織物(東区)の監修のもとで行われ、制作者は遠州縞の歴史や工程を学びながら新たな生地づくりを試みた。今後はトートバッグや帽子、ストール、普段使いの衣服などの商品化に向けて検討を進めるという。
 ブランド化の取り組みは輸入品の増加などでデザインが多様化する中、伝統的な柄に固執するのではなく、時代のニーズに合わせて幅広い世代に織物の魅力を伝えていく狙いがある。中野眞代表理事(64)は「歴史ある遠州織物全体のさらなる普及につなげたい」と声に力を込めた。

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