ワーケーション「伊東で快適に」 観光協、環境整備本腰 施設の通信環境など調査

 伊東観光協会が旅先で仕事をする「ワーケーション」の呼び込みへ本格的な環境整備に乗り出した。これまでも受け入れを進める宿泊施設はあったが、新型コロナウイルスを受けた働き方や旅行スタイルの変化に合わせ、地域全体で新たな顧客層の開拓を目指す。取り組みは、誘客多角化を図る観光庁の実証事業にも選ばれている。

「山喜旅館」で通信環境を調査する伊東観光協会の関係者や山田幹久社長(右)ら。和建築の食堂は現在もリモートワークの作業スペースに開放している=2020年12月中旬、伊東市
「山喜旅館」で通信環境を調査する伊東観光協会の関係者や山田幹久社長(右)ら。和建築の食堂は現在もリモートワークの作業スペースに開放している=2020年12月中旬、伊東市

 首都圏客が7割を占める伊東市の観光業はコロナ禍で大打撃を受けた。いまだ収束の兆しはなく、2021年もどれだけの来遊客が見込めるか分からない。そこで着目したのが、1年で急速に普及したリモートワーク。
 同協会は20年12月、宿泊施設の通信環境の調査を始めた。リモートワークには、メールの送受信程度から本社システムにアクセスするものまでさまざまな形態があり、施設によって通信量が大きい作業に対応できないこともある。まずは各施設の通信環境を集約し、利用者が業務に適した宿泊先を一目で分かるようにする予定。
 すでに市内にはコロナ禍を受け、リモートワーク客に活路を求めた老舗旅館もある。1930年創業の山喜旅館は、深夜まで仕事をする人の利便性や食堂が密になりやすいことを考慮し、20年春から1泊2食付きだった宿泊プランを素泊まりのみに変更した。通信設備も整え、食堂だったスペースは作業用に開放している。山田幹久社長(70)は「昨春の企業合宿がキャンセルされウィズコロナへの対応に迫られた。リモートワークは旅館が生き残る道」と話す。
 市内には山喜旅館のような本格的な和建築に加え、市街地のホテル、自然に囲まれたペンションなど多様な宿泊施設があり、幅広い客層を呼び込める可能性がある。同協会の担当者は「ワーケーションは連泊が前提。平日の稼働率向上にもつなげたい」と意気込む。

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