雨畑ダム堆砂、3日に検討会 日軽金、国などに参加求める

 駿河湾サクラエビの不漁を受け静岡、山梨両県が濁りの実態調査を進める雨畑ダム(山梨県早川町)の堆砂率が9割を超え、周辺で水害が頻発している問題で、ダムを管理する日本軽金属(東京都)は2日、国など関係機関と対策について話し合う検討会を設置、初会合を3日に山梨県庁で開くと発表した。ダムを監督する国土交通省の担当者は取材に対し「日軽金側は堆砂問題の責任を認めている」と明らかにした。

雨畑ダムの問題が明るみに出るまでの経過
雨畑ダムの問題が明るみに出るまでの経過
放水され堆砂があらわになった雨畑ダム湖=8月19日、山梨県早川町(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
放水され堆砂があらわになった雨畑ダム湖=8月19日、山梨県早川町(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
雨畑ダムの問題が明るみに出るまでの経過
放水され堆砂があらわになった雨畑ダム湖=8月19日、山梨県早川町(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)

 国交省は8月、日軽金に問題の抜本解決を求める行政指導をしていて、検討会設置はそれを受けた対応の一環。由比港漁協(静岡市清水区)の関係者がダムを視察するなど、ダムを起点とする同社の水力発電用導水管を経て駿河湾に強い濁りが注いでいる問題を危惧する向きが広がっている。
 検討会の名称は「雨畑地区土砂対策検討会」で、国や山梨県などに参加を求めた。同社蒲原製造所(同)は設置の理由について「2014年より4回実施されている(国の)検査結果が連続して(3段階のうち最も深刻なレベルの)A判定を受けているため」と説明。国交省によると、「A判定」は「直ちに改善措置が必要」な段階とされる。
 ダムのある早川水系の濁りの実態調査を静岡県と合同で行う山梨県幹部の一人は「膨大な堆積土砂の処理をどのように行うかを検討する過程で、水質などの環境も議論することになるのでは」と述べた。
 国交省の担当者は「堆砂の処理方法など日軽金が国に対して問題の抜本的解決に向けた計画書を提出するに当たり、技術的な助言を求める場と解釈している」とした。その上で「元来、周辺の土砂流入が極めて多い地域で、ダムをこの先どのように維持するかはひとえに日軽金サイドの経営判断となる」と解説した。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞