富士川濁り 支流からか 山梨・早川 雨で基準値超え

 由比港漁協(静岡市清水区由比今宿)がサクラエビの不漁との関係を指摘する富士川水系の濁りについて、降雨により富士川支流の早川(山梨県早川町)で基準値を超える強い濁りが発生し、本流の富士川に流れ込んでいるとみられることが、静岡県が13日に発表した水質調査結果で明らかになった。県は調査を継続し、必要に応じて富士川の共同調査に向けた協議を山梨県に打診する方針。

富士川水系の濁りの調査地点
富士川水系の濁りの調査地点

  静岡県は1月11、30日と2月4日、東京の企業が所有する山梨県の3カ所の堰(せき)と同区蒲原の工場放水路、周辺の駿河湾で水を採取、土砂など濁りの原因となる懸濁物を測定した。
  4日の調査では前日に降った雨の影響もあり、早川と富士川が合流した直後の塩之沢堰で1リットル当たりの懸濁物量が670ミリグラム(基準値は25ミリグラム)まで上昇した。一方、早川とつながりがない支流の波木井堰は33ミリグラムで、塩之沢堰と大幅な差が出た。
  同漁協は堆砂が進む早川上流の雨畑ダムが濁りの主因と見る一方、山梨県側では上流域にある別のダム湖の放水や、土質による濁りを指摘する声も上がる。静岡県の担当者は雨畑ダムと濁りの関係は「不明」とするものの、「早川の方面で何らかの濁りが発生した可能性がある」と説明する。県水産業局の中平英典局長は「必要があれば共同調査も含め協議を山梨県に打診する」などと述べた。
  塩之沢堰の水は導水管を通って複数の水力発電施設で使われ、同区蒲原の工場放水路から駿河湾に流れ出る。同放水路の懸濁物は基準値を超える427ミリグラムだった。同漁協の宮原淳一組合長(78)は、「濁りの原因が早川であれば山梨県の協力が必要。土砂の行方を知りたい」と今後に注目する。県の発表では、県内の富士川水系は降雨の影響が少なく、全5地点の懸濁物は基準値内だった。   (「サクラエビ異変」取材班)

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