国交省専門家会議 第7回議事概要【大井川とリニア】

 国土交通省は18日までに、リニア中央新幹線工事に伴う大井川の流量減少問題を議論する専門家会議の第7回会合(昨年12月8日)の議事録を公表した。静岡県に地質の情報や湧水量などを随時報告するとしたモニタリング(観測)体制案がJR東海から示され、調査の在り方や頻度などを中心に議論された。

国土交通省の第7回専門家会議での発言(ポイント)
国土交通省の第7回専門家会議での発言(ポイント)

 
 ■トンネル前方の地質の事前調査
 森下祐一静岡大客員教授 「(JR東海資料の記載は地質試料を採取しない)ノンコアボーリングなのでスライム(掘削時の破砕くず)の観察だけでは地質の把握ができない。修正してもらいたい」
 西村和夫東京都立大理事 「ノンコアボーリングでも結構、情報は分かる。ただ、コアボーリングに比べれば得られる地質情報は乏しいというのは確かだ。ノンコアボーリングはざっくりした情報は得られる」
 二村亨JR東海中央新幹線推進本部次長 「コアボーリングは時間がかかるので、まずはノンコアボーリングを行い、必要な箇所にコアボーリングを行う」
 森下氏 「コアボーリングは非常に有効だ。通常の山と違って南アルプスの地質はかなり複雑なので、慎重には慎重を期すという意味も含めてぜひ検討をお願いしたい」
 
 ■残土置き場の危険性
 徳永朋祥東大教授 「残土置き場がその周辺の地質も含めてどのぐらい中長期的に安定なのか、説明してもらえるといい。盛り土の安定については議論されているが、裏側の山が安定していないとトータルとして課題がある可能性がある」
 二村氏 「残土置き場は主に燕(つばくろ)沢と藤島沢で計画しているが、現時点で背面の土砂が危険だという認識は全くない」
 福岡捷二中央大教授 「裏山の崩落の危険性、重金属が出た際の閉じ込め方などの課題は今後引き続き検討するが、現時点で想定されるトンネル湧水量であれば掘削完了後の湧水の全量を戻すことが可能と確認できた」
 
 ■モニタリング(観測)体制
 丸井敦尚産業技術総合研究所プロジェクトリーダー 「コンセプトがしっかりできていないから、どんな種類のデータが科学的、工学的に必要かつ十分なのかという議論がなされていない」
 沖大幹東大教授「(河川の水質調査の頻度に関し)地元の人が月1回、年1回で良くて、何か変動が起きた時に『いつから、こうなったんですか』と問われても『分からない』という答えで構わないならいいが、何か非常にやる気がないように思う。地元の人と話してどのぐらいの頻度があると安心なのかをぜひコミュニケーションされてはいかがか」
 大東憲二大同大教授 「北陸新幹線深山トンネルの(湿地保全の)委員会を紹介する。影響が出る可能性のある観測ポイントを厳選し、もし何か影響があった時にすぐ対策を取ることを事前に決めて観測している。地下水位や流量が大きく減れば代替水を供給する仕組みを事前に作っておいて工事を進めている」

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