リニア建設でJR提訴 大井川利水者ら 工事差し止め請求

 リニア中央新幹線の建設工事を巡り、大井川流域の住民らが30日午前、JR東海を相手取り、静岡県内区間(10・7キロ)の工事差し止めを求める訴えを静岡地裁に起こした。南アルプスのトンネル工事で大井川の水量が減少したり、自然環境が破壊されたりすることを危惧。「十分な調査や住民への説明もないまま着工を進めようとしている態度を断じて許せない」と訴えている。

リニア建設を巡り県内区間での工事差し止めを求め、JR東海を提訴するため静岡地裁に向かう原告ら=30日午前10時55分、静岡市葵区
リニア建設を巡り県内区間での工事差し止めを求め、JR東海を提訴するため静岡地裁に向かう原告ら=30日午前10時55分、静岡市葵区

 原告は茶生産者をはじめとする利水者ら107人。訴状では、大井川から生活、農業、工業用水を取水している流域8市2町の住民にとって大井川は「命の水」と指摘した。工事に起因する減水は表流水だけでなく、地下伏流水の減少にもつながるとした上で、住民生活に多大な不利益を生じさせかねず「人格権としての平穏生活権を侵害する」としている。
 また、南アルプスの動植物や景観への悪影響を懸念。自然の恵みを享受する権利が奪われる現実的な危険があり、環境破壊がひとたび行われれば回復は著しく困難だ-とした。
 JR東海は「訴状が届いたら内容を確認の上、適切に対応してまいる」としている。
 リニア工事を巡っては、沿線住民らが2016年、事業認可の取り消しを国に求めて東京地裁に提訴した。19年には、山梨県南アルプス市の沿線住民らが同社に工事の差し止めなどを求めて甲府地裁に提訴している。
 

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