リニア問題、国交省次官と川勝知事10日会談 国交省/ヤード工事容認を提案 静岡県/「流域市町の意向確認」

 リニア中央新幹線南アルプストンネル工事のためのヤード(作業基地)工事を巡り、国土交通省の藤田耕三事務次官は10日午後、川勝平太知事と県庁で会談し、大井川の水資源や自然環境への影響が軽微だとして、坑口を含むヤード工事の着工を認めるよう提案する。県は大井川流域10市町の意向を確認した上で対応する方針だが、流域市町には否定的な受け止めも多く、県が提案を受け入れるかは見通せない。
 事業主体のJR東海はリニアの2027年開業の延期を正式に表明しておらず、議論は正念場を迎える。
 藤田次官が県庁で知事と会談するのは、昨年10月に続き2度目。国交省としては事務方トップが直接訪問することで、事態を打開したい狙いがある。県は会談をインターネットで動画配信する。
 藤田次官は知事との会談に先立つ10日午前、JR東海の金子慎社長を国交省に呼び、JRに対する提案を伝える。大井川の水問題を議論している国の専門家会議の議論が終わるまでトンネル本体の掘削工事に着手しないことや、専門家会議の議論で坑口の場所や各種設備に変更する必要があるとされた場合、変更することを条件として示す。
 JRは「2027年の開業は難しい」と言及しつつも、延期は表明していない。国交省もJRから報告がないことなどから、開業予定時期は変わっていないとの認識だ。
 JRは静岡新聞社の取材に「提案内容は拝見している」とコメントするにとどめた。

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