公募委員候補2人推薦 リニア大井川問題、国交省新設の会議に

 リニア中央新幹線工事に伴う大井川の流量減少問題で、JR東海を指導するため国土交通省が新設する専門家会議について、静岡県は10日、独自に公募した委員候補者の選考結果を発表した。選考したのは水循環に詳しい稲場紀久雄大阪経済大名誉教授(環境科学)と大井川流域の水事情に精通した蔵治光一郎東大教授(森林水文学)の2人で、同日、国交省に推薦した。
 稲場氏は旧建設省出身で、現在はNPO法人日本下水文化研究会代表を務める。水循環基本法策定の実務に当たった経験もある。蔵治氏は発電ダム建設に伴う大井川の流れの状況変化を研究した論文を執筆しているほか、水循環基本法の策定にも関わり地下水の分野に精通している。
 県は2人を推薦した上で、国交省に改めて委員を選び直すよう求め、委員に選定しない場合は理由を説明するよう要請した。また、2人の推薦理由については、中立公正性に加えて大井川の状況をよく理解している点などを挙げた。
 専門家会議の人選に関しては、国交省が示した委員候補者のうち、森地茂政策研究大学院大政策研究センター所長が、リニア工事を受注する大成建設の社外取締役を務め、同社から多額の報酬を受け取っているとして県が問題視していた。
 県の推薦に対し、国交省鉄道局の担当者は取材に「省内で検討したい」と述べた。

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