国交省 第1回モニタリング会議 座長「静岡県とJRの議論も監視」【大井川とリニア】

 国土交通省は29日、静岡県内のリニア中央新幹線トンネル工事に伴いJR東海が実施する水資源、環境保全対策の実施状況を確認する「第1回モニタリング会議」を都内で開いた。座長に就いた一般社団法人ふじのくにづくり支援センター理事長の矢野弘典氏は冒頭のあいさつで、これまでに同省専門家会議で整理された対策の評価を巡り「JRと静岡県の間にかなりの隔たりがある」と述べ、県とJRに協議を促すとともに、両者の協議の進捗(しんちょく)についてもモニタリング会議で確認していく意向を示した。

JR東海が示したリニア県内工事に伴い実施する主なモニタリング地点
JR東海が示したリニア県内工事に伴い実施する主なモニタリング地点

 矢野座長は「隔たりを埋めない限り、リニア事業は一歩も進まない」とし、「早急にギャップを埋める議論を精力的に進めてもらいたい」と強調した。会議にオブザーバー参加した森貴志副知事は、大井川上流部の沢の生物調査不足などJRのモニタリング計画には課題があるとの認識を改めて示し、「JRと県専門部会の対話の状況をモニタリング会議で議論してもらうことは非常に有意義だ」と歓迎した。
 国交省は大井川の水資源の確保と、南アルプスの環境保全に関する専門家会議を3年8カ月にわたって開催し、2023年12月までにそれぞれのテーマの報告書をまとめた。これを踏まえ、「対策を実行する新たなステージに入った」(同省鉄道局幹部)としてモニタリング会議を立ち上げたが、会議座長から拙速な議論の進め方に異議が出された格好になった。
 会議では、JRの担当者がこれまでの専門家会議などで示したモニタリング計画を整理して説明した。環境保全に関する専門家会議で適切と認められた大井川上流部の沢の計画案については手法や頻度を詳細に示し、3月から順次開始するとした。有識者で構成する会議の委員からは調査手法や評価方法について意見が出た。
 (政治部・尾原崇也)

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