食べる乳酸発酵茶を開発 ミャンマーの伝統食をヒントに 静岡・梅ケ島の茶再興

 静岡市葵区梅ケ島産の茶葉を使った商品を企画・販売する「隠れ茶を守る会」(斎藤雅子代表)がこのほど、食べる乳酸発酵茶を開発した。県産茶の味わい方で新たな方向性を提案し、生産者の高齢化と後継者不足に悩む産地再興を後押しする。

「食べるお茶・発酵ほろに」を開発した「隠れ茶を守る会」の斎藤雅子代表(右)と生産者の秋本元さん=1月中旬、静岡市葵区梅ケ島
「食べるお茶・発酵ほろに」を開発した「隠れ茶を守る会」の斎藤雅子代表(右)と生産者の秋本元さん=1月中旬、静岡市葵区梅ケ島

 新商品はミャンマーの伝統食「ラペソー」をヒントに、無農薬栽培の一番茶の新芽を梅ケ島に自生する植物由来の乳酸菌で発酵させたもの。県や東京農業大などが開発を支援し、約4年かけて「食べるお茶・発酵ほろに」として商品化した。
 華やかな香りとほろ苦さが特徴で、おにぎりやサラダ、肉や魚料理の添え物など多様な使い方ができる。主な販売先は地元や県外のレストランだが、イベント販売も始め、販路拡大に力を入れている。現在のプレーンに加え、塩こうじ、みそ、ミャンマー風など味のバリエーションも広げていく予定。
 標高約750メートルに位置する梅ケ島地区では、山間地特有の香りが高く、滋味深い茶が栽培される。ただ収穫時期が遅く、一番茶の出荷が新茶商戦に間に合わないため、納品先で他産地の茶葉と混ぜ合わせる素材として利用されることが多かった。斎藤代表は「梅ケ島の茶は品質は良いのに、市場との兼ね合いで労力に見合った収入が得られず、後継者が育たない」と産地の課題を挙げる。
 問題解決を図ろうと同会は2009年、農薬と除草剤不使用の梅ケ島産の茶100%で作った商品を「隠れ茶」として販売。エコツアーも企画し、地区の交流人口拡大にも力を注ぐ。
 新商品の原料を栽培する茶農家の秋本元さんは、長年無農薬での栽培を続けてきた。秋本さんは「無農薬だからこそ安心して口にできる。食べる乳酸発酵茶の商品化で、そこに新たに光を当ててもらえるのはありがたい」と語る。
 斎藤代表は「梅ケ島の素晴らしい茶畑を後世に残すため、食べるお茶の文化を育てていきたい」と話す。
 (経済部・垣内健吾)

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