スポーツ施設整備 健康拠点、多面的活用も【検証 富士市予算案㊤】

 富士市の富士総合運動公園の一角に、巨大な建屋の骨組みが姿を見せ始めた。2025年4月にオープンする市総合体育館は、バスケットボールコート5面分を確保する二つのアリーナなどを整備する。周囲の緑に溶け込む開放的なデザインは、市民の健康を支える「元気創造の場」を印象づける。

富士市総合体育館(中央手前)の整備が進む富士総合運動公園一帯。「スポーツの聖地」としてのアピールを強める=富士市内(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)
富士市総合体育館(中央手前)の整備が進む富士総合運動公園一帯。「スポーツの聖地」としてのアピールを強める=富士市内(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)

 市は24年度一般会計当初予算案に、建設の仕上げにかかる費用46億円を計上した。同公園ではこの他、全国規模の大会を実施する陸上競技場の定期改修や、見やすいスコアボードを導入する野球場の刷新などの事業がある。宿泊が可能な民間のスポーツ施設と隣接し「全国からアクセスしやすいスポーツの聖地になる」(小長井義正市長)とアピールを強める。
 市内では五輪種目としても関心が高まるスケートボードの施設を富士川体育館に造成し、スポーツ施設整備事業に計51億円を投入する。富士川左岸の河川敷もグラウンドのレイアウトを順次整え、市民がスポーツに親しむ環境は施設利用の場面で大きく向上する。
 半面、習慣的に体を動かす愛好者は減っている。多くの種目は少子化や高齢化で競技人口が減少し、新型コロナ禍の運動離れは回復の途上にある。市スポーツ協会によると、本年度の会員数は新型コロナ禍前に比べて15%ほど落ち込んでいるという。
 各競技団体は体験会を開くなど愛好者の確保に努める。同協会の山野政宏会長は「競技施設は文化や娯楽を含む多面的な活用ができる。スポーツとは縁のなかった人との接点になり得る」とみる。施設整備が観光や経済を伸ばす可能性も指摘する。
 総合体育館は、建設や運営に民間業者の提案を生かすPFI方式で事業が進む。市担当者は「これまで親しみのなかった競技やイベントが実施されることが期待される。まずは足を運んでもらい、施設を利用したくなる意識が広がってほしい」(文化スポーツ課)と話す。
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 富士市の24年度一般会計当初予算案は、過去最大の1018億円にのぼった。主な事業から、成果の行方に注目したい二つの取り組みに焦点を当てる。

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