リニア工事生物影響「JRと協議続ける必要」 静岡市長と国の会議座長、意見交換

 リニア中央新幹線トンネル工事に伴う南アルプスの環境保全に関する報告書をまとめた国土交通省専門家会議の中村太士座長(北海道大教授)が21日、県内を訪れ、難波喬司静岡市長や、ほかの大井川流域市町の首長と意見交換した。難波市長は、報告書の内容は水生生物の生息場所への影響と保全措置に関する検討が不十分なため、JR東海との間で協議を続ける必要があるとの考えを伝え、JRと見解が対立する場面などでは専門家会議委員に意見を求めたいとした。

リニア工事環境保全報告書について意見交換する静岡市の難波喬司市長(右)と中村太士国専門家会議座長(手前右)=21日午前、市役所静岡庁舎
リニア工事環境保全報告書について意見交換する静岡市の難波喬司市長(右)と中村太士国専門家会議座長(手前右)=21日午前、市役所静岡庁舎
リニア工事環境保全報告書に関する意見交換のため静岡市の難波喬司市長(右)と面談する中村太士座長(左)ら国専門家会議委員=21日午前、市役所静岡庁舎
リニア工事環境保全報告書に関する意見交換のため静岡市の難波喬司市長(右)と面談する中村太士座長(左)ら国専門家会議委員=21日午前、市役所静岡庁舎
リニア工事環境保全報告書に関する意見交換会であいさつする染谷絹代島田市長(左)=21日午後、島田市役所
リニア工事環境保全報告書に関する意見交換会であいさつする染谷絹代島田市長(左)=21日午後、島田市役所
リニア工事環境保全報告書に関する意見交換会であいさつする染谷絹代島田市長(右から3人目)。手前は中村太士国専門家会議座長=21日午後、島田市役所
リニア工事環境保全報告書に関する意見交換会であいさつする染谷絹代島田市長(右から3人目)。手前は中村太士国専門家会議座長=21日午後、島田市役所
リニア工事環境保全報告書について意見交換する静岡市の難波喬司市長(右)と中村太士国専門家会議座長(手前右)=21日午前、市役所静岡庁舎
リニア工事環境保全報告書に関する意見交換のため静岡市の難波喬司市長(右)と面談する中村太士座長(左)ら国専門家会議委員=21日午前、市役所静岡庁舎
リニア工事環境保全報告書に関する意見交換会であいさつする染谷絹代島田市長(左)=21日午後、島田市役所
リニア工事環境保全報告書に関する意見交換会であいさつする染谷絹代島田市長(右から3人目)。手前は中村太士国専門家会議座長=21日午後、島田市役所

 中村座長は「限られた時間の中で(専門家会議の議論を)やってきた。パーフェクトな報告書をつくったとは思っていない」と難波市長の考えに一定の理解を示し、静岡市とJRの今後の協議について「協力できることがあったら協力したい」と述べた。
 静岡市役所静岡庁舎に中村座長のほか、大東憲二委員(大同大特任教授)と国交省の村田茂樹鉄道局長が訪れた。非公開で約30分間意見交換した後、取材に応じた。
 中村座長が「不確実性の問題があり、何年かけて調べても100%(の生物への影響予測)にはならない」「工事して問題が起こったら対処していくというスキーム」と報告書の中に取り入れた保全措置の考え方を説明したのに対し、難波市長は「あらかじめ生息場への影響を具体的に推測し、対処法を決めた方がいい」と工事実施前の対策にこだわり、意見が食い違う場面もあったという。
 大井川流域市町の首長との意見交換は島田市役所で約1時間半、非公開で行われた。終了後に取材に応じた出席者によると、首長側は工事に伴う流量変化のモニタリングなどの環境管理体制に国の継続した関与を求めたという。染谷絹代島田市長は「水資源や南アルプスの自然環境の保全に向けた取り組みに報告書を生かしたい」と述べた。
 専門家会議に静岡市や流域市町と同様にオブザーバー参加した県に対して意見交換の場が設けられなかったことについて、村田局長は「今回は流域市町から要請をもらいセットした。県も機会があれば検討したい」とした。
(政治部・尾原崇也、島田支局・寺田将人)

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