ドメイン対策不足、静岡など24府県 悪用サイトに誘導の恐れ

 都道府県が運営するインターネットサイトを廃止したり移転したりする際、総務省が指針で定める「ドメインを一定期間保有してユーザーに周知する」などの対策が不十分なサイトが静岡など24府県であることが21日、共同通信の調査で分かった。

一般的なドメインを手放す際、一定期間保持したり移転先に自動的に飛べたりする対策を取っているか
一般的なドメインを手放す際、一定期間保持したり移転先に自動的に飛べたりする対策を取っているか

 廃止・移転した自治体や省庁のサイトを巡っては、ネット上の住所に当たるドメインがオークションサイトに出品される事例が相次ぎ発覚。出品や売買は違法ではないが、自治体名など公共性の高さを連想させるドメインを第三者が取得し、悪用する可能性もある。指針は、不正なサイトへの誘導を防ぐ目的で対策を求めており、リスクに対する行政側の認識不足が浮き彫りになった。
 調査は2023年11~12月にアンケート形式で実施。和歌山県を除く46都道府県の回答をまとめた。
 総務省は指針で、地方自治体しか取得できない、末尾が「lg.jp」などの使用を推奨しているが、調査では静岡など40都道府県が誰でも簡単に取得できる一般的なドメインを使っていると回答。うち、手放す前にサイト閉鎖を周知したり、移転先へ自動的に飛べる仕様にしたりする対策を、石川、奈良、鹿児島、沖縄の4県が「取っていない」、静岡、大阪など20府県が「取っているサイトと取っていないサイトがある」と答えた。
 14都県が、手放したドメインがオークションサイトに出品されていたと回答。島根県では「Go To Eatキャンペーン」のドメインが45万円超で落札された。三重県が手放した企業支援サイトのものは落札後、カードローンや債務整理の紹介サイトに転用されていた。
 一般的なドメインを使う理由には「急いで立ち上げる必要があった」といった回答があり、利便性と安全対策の両立の難しさも浮かび上がった。
 和歌山県は全設問を「調査中」または「回答を差し控える」とした。

 ドメインの運用に詳しいコンサルタントの辻正浩さんの話 第三者が放棄後のドメインを取得したがるのは、閲覧実績を引き継いで検索結果の上位に表示されることがあり、新たに立ち上げるよりもアクセス数を稼げるからだ。自治体サイトを装って個人情報を入力させるなど悪用が懸念される。
 地方自治体しか使えないドメインの利用を徹底するべきだ。ただ、現状の仕組みでは手続きに時間がかかるため、早急な立ち上げが必要な時は一般的なドメインの使用が避けられない。その場合、放棄前に自治体と関係なくなることを十分に周知した上で、10年程度は保有してほしい。

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