都道府県対抗男子駅伝 静岡県は24位 全国の壁厚く

 第29回全国都道府県対抗男子駅伝は21日、広島市の平和記念公園前を発着点とする7区間48キロで行われ、長野が大会新記録の2時間17分0秒で3大会連続優勝を果たした。通算で最多の優勝回数を10に伸ばした。
 4位で出た4区の永原颯磨が区間1位の走りで先頭に浮上し、7区の鈴木芽吹(駒大、熱海泉中出)は区間記録を塗り替えてリードを広げた。
 静岡県は2時間22分47秒の24位だった。33位で出た2区大沼光琉(沼津市立高中等部)が区間9位で29位に上がったが、その後は、3区間続けて区間20~30位台に沈み5区を終えて34位。6区永嶋駿樹(静岡安東中)が区間8位で2人を抜き、アンカー7区の西沢侑真(トヨタ紡織、浜松日体高出)は区間10位の8人抜きで押し上げた。


◇…静岡県勢の区間記録…◇
(区、距離、選手名、所属、記録、区間順位、通過順位の順)
1区(7キロ) 村木風舞(御殿場西高) 20分54秒 ㉝ ㉝
2区(3キロ) 大沼光琉(沼津市立高中等部)8分41秒 ⑨ ㉙
3区(8・5キロ)尾崎健斗(明大) 24分33秒 ㉜ ㉛
4区(5キロ) 山本拓歩(浜松日体高) 15分4秒 ㉔ ㉚
5区(8・5キロ)岡元快生(浜松開誠館高) 26分34秒 ㉟ ㉞
6区(3キロ) 永嶋駿樹(静岡安東中) 8分54秒 ⑧ ㉜
7区(13キロ) 西沢侑真(トヨタ紡織) 38分7秒 ⑩ ㉔


苦しんだ高校生区間 高速レース対応に課題 中学生は健闘㊧2区大沼光琉(中央)からたすきを受け走り出す3区尾崎健斗=広島市内の第2中継所㊨4区山本拓歩(左)から5区岡元快生にたすきが渡る=広島県廿日市市の第4中継所(写真部・宮崎隆男) 6区永嶋駿樹(右)が7区西沢侑真にたすきを渡す=広島市西区の第6中継所(写真部・宮崎隆男) 高校生で1キロ2分40秒台が当たり前のスピードと、強い向かい風をものともしない力強さ-。静岡県は再び全国の壁にはね返された。7区西沢の好走で24位まで盛り返したが、6区まで30位台を抜け出せなかった。
 全体の4割を占める高校生3区間で苦しんだ。5000メートル13分台が集った1区で県高校ランク1位の村木(御殿場西高)が33位。7キロ区間の最初の1キロが2分45秒、5人が区間記録を更新した高速レースで「スタートから驚いた。先頭集団の選手と歴然とした差があった」と痛感した。
 それでも、4区山本(浜松日体高)の粘りは収穫だ。2年生が順位を一つ上げる区間24位。体調不良の3年生に代わって貴重な経験を積み「来年は自分がチームを引っ張りたい」と決意した。
 中学生はともに区間1桁順位。2区大沼が「ハイペースで入りすぎたけど押し切れた」と4人を抜けば、6区永嶋は「もっと食らい付きたかった」と悔しがりながらも区間8位と強豪と渡り合った。
 県内高校生で5000メートル13分台をマークしたのは歴代3人。石野監督(湖西岡崎中教)は「全国は県内で経験したことのないスピードになっている。年代を問わずレースの質を上げないと」と振り返る。中学年代で全国レベルの選手は間違いなく育っている。来年こそ高速化に対抗するきっかけをつかみたい。

アンカー西沢 チーム救う8人抜き6区永嶋駿樹からたすきを受け走り出す7区西沢侑真=広島市西区の第6中継所(写真部・宮崎隆男)24位でゴールする静岡のアンカー西沢侑真=広島市中区の平和記念公園前(写真部・宮崎隆男) 2年連続アンカーの西沢がチームを救った。32位から8人抜き。過去1度しかない30位台フィニッシュとなりかねない展開をはね返し「中高生にいい姿を見せられたかな」と安堵(あんど)した。
 前回は順大で箱根駅伝を走った直後とあって区間21位。実業団所属になった今大会からは、1人のふるさと枠を1万メートル27分台の先輩と争うため「出場は昨年で最後」と覚悟していたが、パリ五輪イヤーで出場を回避した選手がいたためチャンスが巡ってきた。
 序盤から「とにかく前を追う」とハイペースを刻み、終盤に4~5人の集団をまくって順位を大幅アップ。区間10位の力走に「なんとか先輩方に怒られないかな」と冗談めかした23歳。「今年は1万メートル27分台が目標。速い先輩に食らい付きたい」と意欲的だ。

アンカー鈴木(熱海泉中出)区間新 長野3連覇10度目V3大会連続、10度目の優勝を達成した長野のアンカー鈴木芽吹=広島市中区の平和記念公園前  高校時代を過ごした長野を10度目の頂点に導いた。鈴木が7区で区間記録を20年ぶりに更新。一時は1分以上遅れていた大会記録も塗り替え、節目の優勝に花を添えた。
 箱根駅伝は2区2位ながら、史上初の2年連続大学駅伝3冠を逃し涙した。4日から長野チームの合宿に参加した失意のエースは、「(鈴木)芽吹を胴上げしよう」と一丸になるチームメートに元気づけられたという。
 高校時代は故障などで縁がなかった安芸路。佐久長聖高の後輩が首位に立ち、2位と48秒差で受けた時点で優勝は確信したが、「区間記録も狙っていく」と攻めの走りで同区間初の36分台(36分52秒)をたたき出した。
 卒業後はトヨタ自動車に加入するが、チーム本体からは離れ、駒大の大八木総監督の下で先輩の田沢と世界を目指す。最初の目標は1万メートルでのパリ五輪。「3月に記録会に臨み、5月の日本選手権は27分10秒で3位以内を狙う。会場のエコパは相性がいい」と、静岡での快走を誓った。
(運動部・山本一真)


 ▽成績 ①長野(浜口、中沢、伊藤、永原、山口、滝沢、鈴木)2時間17分0秒=大会新②埼玉2時間19分11秒③千葉2時間19分32秒④京都2時間19分56秒⑤兵庫2時間19分59秒⑥岡山2時間20分6秒⑦福岡2時間20分12秒⑧東京2時間20分19秒⑨茨城2時間20分44秒⑩大阪2時間20分55秒⑪鹿児島2時間20分57秒⑫長崎2時間21分12秒⑬福島2時間21分18秒⑭広島2時間21分20秒⑮群馬2時間21分49秒⑯滋賀2時間21分54秒⑰宮崎2時間21分59秒⑱熊本2時間22分18秒⑲北海道2時間22分21秒⑳愛知2時間22分28秒(21)栃木2時間22分30秒(22)岐阜2時間22分36秒(23)神奈川2時間22分41秒(24)静岡(村木、大沼、尾崎、山本、岡元、永嶋、西沢)2時間22分47秒(25)大分2時間22分52秒(26)佐賀2時間22分56秒(27)新潟2時間22分58秒(28)山口2時間22分58秒(29)福井2時間23分2秒(30)和歌山2時間23分3秒(31)鳥取2時間23分10秒(32)宮城2時間23分19秒(33)山梨2時間23分44秒(34)三重2時間24分0秒(35)岩手2時間24分7秒(36)富山2時間25分21秒(37)高知2時間25分26秒(38)山形2時間25分37秒(39)徳島2時間25分58秒(40)奈良2時間26分21秒(41)愛媛2時間26分24秒(42)青森2時間26分27秒(43)香川2時間26分31秒(44)秋田2時間26分35秒(45)島根2時間26分44秒(46)沖縄2時間27分21秒(47)石川2時間28分35秒

【区間1位記録】
 ▽1区(7キロ) 川原琉人(長崎・五島南高)19分31秒=区間新
 ▽2区(3キロ) 田中悠大(和歌山・岩出二中)8分20秒
 ▽3区(8・5キロ) 葛西潤(大阪・旭化成)23分22秒=区間新
 ▽4区(5キロ) 永原颯磨(長野・佐久長聖高)14分3秒
 ▽5区(8・5キロ) 山口竣平(長野・佐久長聖高)24分47秒
 ▽6区(3キロ) 吉田星(北海道・上野幌中)8分40秒
 ▽7区(13キロ) 鈴木芽吹(長野・駒大、熱海泉中出)36分52秒=区間新

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