法と心理学会、21日から静大で大会 袴田事件題材の発表も

 法と心理学会(指宿信理事長)の第24回大会が21、22日の両日、静岡市駿河区の静岡大で開かれる。法学者や心理学者、弁護士ら実務家が集い、研究報告を通じて議論を深め、知見を共有する。一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判が27日から静岡地裁で始まるのを前に、袴田事件を題材にしたワークショップや発表も予定されている。

大会の準備に奔走する静岡大の正木祐史教授。「法と心理は実践と深く結びついている分野」と話す=19日、静岡市駿河区の同大
大会の準備に奔走する静岡大の正木祐史教授。「法と心理は実践と深く結びついている分野」と話す=19日、静岡市駿河区の同大

 静大での開催は初めて。100人ほどの参加が見込まれている。虐待や事件、事故の被害を受けた子どもらの負担を軽減しながら正確な情報を聞き取る「司法面接」をはじめ、刑事裁判における心理学鑑定の証拠価値、再審無罪事件での目撃供述の分析などワークショップや報告のテーマは多彩。静岡地裁の国井恒志裁判官を登壇者に招いた「ロボット裁判官は人間社会をどう変えるのか?」と題したシンポジウムもある。
 袴田さんの弁護団員で静大卒業生の戸舘圭之弁護士は、著書「冤罪学」を出版した西愛礼弁護士、バイアスの実例に詳しい藤田政博関西大教授とともに、誤判研究に取り組む笹倉香奈甲南大教授が企画したワークショップに登壇する。心理学の視点から捜査や裁判の問題点を分析し、無実を訴える人の救済に知見をどう役立てられるか考える。
 戸舘弁護士は「研究成果を見聞きし、今後の再審公判にも生かせれば。母校でもあり、楽しみ」と話す。
 近年はコロナ禍で大会をオンライン開催することもあった。大会準備委員長を務める正木祐史静大教授は「大会は学会の根幹を成す一つの“装置”。顔を合わせて発表の合間に気軽に会話したり、相互に議論したりすることに意味がある」と対面での開催を喜ぶ。
 両日とも午前9時半に開始。大学生以上なら学会の非会員も参加することはできるが、費用がかかる。

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