実家で米農家継ぐ 戸塚圭祐さん(掛川市) 新品種導入、栽培管理適切に【自然の仕事人】

 鈴虫の鳴き声が聞こえ、稲穂が黄金色に輝き出した9月。掛川市の小笠山南西部で稲刈りにいそしむ戸塚圭祐さん(40)を訪ねた。

稲の生育を確認する戸塚圭祐さん
稲の生育を確認する戸塚圭祐さん

 「幼い頃から両親の農作業を見て育ったので、春の田植え、秋の稲刈りなど、季節の移り変わりを肌で感じながら農作業する光景が当たり前だった」と話す戸塚さんは、高校卒業後、農林大学校へと進学した。しかし、在学中にさまざまな学生と関わりを持つ中で、実家に戻って就農するか、企業に就職するかを悩みに悩んだという。最終的には、地元の肥料会社へ就職する道を選んだものの、心の中では就農の道も閉ざしていなかったそうだ。
 転機が訪れたのは30歳。営業先の農場で、同年代の農家が地域のリーダーとして活躍しているのを見た。「自分もこうなりたい」-。この訪問がきっかけとなり、着々と準備を進め、34歳で実家の米農家に就農した。
 戸塚さんは現在、「コシヒカリ」「にじのきらめき」「きぬむすめ」などの主食用米を中心に29ヘクタール栽培しており、とうもんの里や卸売会社を通じて消費者に米を届けている。
 「お客さんを思いながら丁寧な作業を行い、おいしいお米を作ることを一番大事にしている」と話す戸塚さん。食味の良い新品種の導入にも積極的に取り組むとともに、その年の気象環境に応じて適切な時期に栽培管理を行うことで、おいしい米づくりにまい進している。
 今後の課題としては経営継承を挙げ、「まだまだ栽培技術は父にかなわないが、一生懸命に米づくりに励むことで、自らの経営だけでなく、将来的には地域の担い手としても活躍していきたい」と話した。戸塚さんの今後のさらなる活躍に期待したい。
 (青年農業士会中遠支部)

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