乳歯に「シーラント」必要か 溝を埋めて虫歯予防【歯の診察室】

  40代女性。5歳の子どもが、虫歯治療で歯科医院にかかった際、乳歯の奥歯に「シーラント」の処置を勧められました。シーラントについて詳しく教えてください。また、必要性についても知りたいです。

  シーラントとは、奥歯の溝を樹脂などの材料で埋めて物理的に封鎖することで、溝の中へのばい菌の侵入を防いで、虫歯の発生を予防する処置のことです。歯を削って詰めるのではなく、歯は削らずに材料を歯に接着させるものなので、痛みを伴う処置ではありません。
 特に生えたばかりの奥歯の溝は深くて複雑な形をしており、その入り口部分は歯ブラシの毛先より細いことが多くブラシが溝の中へ届かないため、汚れやばい菌がたまって虫歯になりやすいです。シーラントを行うことで、溝が浅くなることにより歯ブラシによる清掃が容易になり、汚れがたまりにくくなります。また、シーラントによって溝の中にあるばい菌へ栄養を与えるのを防ぐことになり、ばい菌の活動を弱めることができます。加えて、シーラント材の中に含まれるフッ化物によって、周りの歯質を強化したりすることも期待できます。
 実際には6歳臼歯(第一大臼歯)に行われることが多いですが、乳臼歯(乳歯の奥歯)のほか、前歯の裏側に深いくぼみがあるケースも適応となります。全ての溝やくぼみが対象となるわけではなく、溝が浅く虫歯リスクが低いようであれば、必ずしも実施する必要はありません。適切な歯磨きやフッ化物塗布、食生活指導などを行って予防することを優先します。シーラントの必要性は、個々の患者さんの歯の状態や虫歯リスクの度合いにより異なるので、かかりつけの先生にご相談ください。
 注意点としては、処置後に一部取れたり欠けたりすることもあり、その場合には十分な予防効果が得られなくなりますので、定期的な管理も大切です。当然ながら、シーラントさえ行えばもう虫歯にならないというわけではないので、その上からきちんと歯磨きを行う必要があります。(晒名正人・静岡県歯科医師会生涯研修部)

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