記者コラム「清流」 新しい景色に感謝

 静岡県西部で生物たちを観察して間もなく1年。肉眼とカメラのレンズ、勘を頼りにしてきたが、限界を感じることが増えた。生物たちの観察眼にはかなわない。急に「こんにちは」して慌てさせられたり、気付かないうちにそっと「さようなら」されたり。
 「双眼鏡は使わないの?」。低空飛行で神出鬼没のハイイロチュウヒを待つ日々で、諸先輩から声をかけられた。正直なところ、ファインダーをのぞくのが遅くなるので今まで敬遠していたが…。
 数日後、双眼鏡を手に入れてみると、なぜかワクワクした。そっと両目でのぞく。カメラとは違う立体的な鳥の姿、表情が浮かび上がる。
 フィールドに通い、四季を切り取る中で見つけた「新しい景色」。出会った人たちや生物たちに感謝を伝えたい。
(浜松総局・二神亨)

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