県境ボーリング見合わせ JR東海 水戻す方法決定まで【大井川とリニア】

 リニア中央新幹線トンネル工事に伴う大井川水問題を協議する静岡県有識者会議の地質構造・水資源専門部会が25日、県庁で開かれた。JR東海はこれまで山梨県から静岡との県境を越えて実施する方針を示していた高速長尺先進ボーリングについて、山梨県側へ流出する湧水を静岡県側に戻す方法が決まるまで実施を見合わせると表明した。

 JR東海は昨年10月に県境越えボーリングの実施を表明したが、県は「県境付近の断層帯の水が抜けるリスクがある」と計画の見直しを求め、流域市町の首長からも専門部会委員との意見交換の場などで同様の考えが示されていた。JRはこうした意見を踏まえて方針を改めた。
 JRは静岡県側に湧水を戻す方法として田代ダム取水抑制案の活用が有力との見方を示し、今後、ダムを管理する東京電力と実現に向けた協議を進めるとした。
 一方で「トンネル湧水に関する不確実性を低減し、流域の懸念を解消するために重要」とボーリングの意義をあらためて説明し、山梨県内の先進坑先端部から2月初旬にも穿孔(せんこう)を開始し、県境付近までは進めるとした。
 専門部会委員と県はボーリングが県境に近づいた場合、県内の地下水がボーリングで空いた穴に引っ張られる形で流出する可能性に懸念を示し、どの地点で穿孔を止めるかについては引き続き協議を求めた。
 田代ダム案についてはJRが過去10年間の河川流量データを示した上で「渇水期にも実現可能」との見解を改めて伝えた。委員から一定の理解を得たとして東電と具体的な協議を開始すると報告した。
 (政治部・尾原崇也、杉崎素子)

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