県境越え先進ボーリング 専門部会「湧水対策不十分」【大井川とリニア】

 リニア中央新幹線トンネル工事に伴う大井川水問題について協議する県有識者会議の地質構造・水資源専門部会が4日、県庁で開かれた。JR東海が山梨県から静岡県との県境を越えて実施する方針を示している高速長尺先進ボーリングについて、湧水の県外流出対策とともに2023年1月から始める計画を示したが委員側は対策の内容が不十分として認めなかった。
 JR東海はボーリング中や終了後に発生する湧水を計測し、「後に県側に同量を返水する」と説明したが、委員から「リアルタイムで戻すべき」などと意見が上がり、今後、具体策を協議することになった。同社は終了後の取材に、23年1月から同ボーリングを開始するが、湧水対策がまとまるまでは県内まで到達させないとした。
 JR東海は同ボーリング終了後、穴にバルブを設置して湧水を止められる構造にするが、工事上の安全を考慮して一定の湧水量を流し続けると説明した。
 トンネル湧水の県外流出対策として提示していた田代ダム取水抑制案について、同社は新たに東京電力から提供を受けた過去10年間の河川流量データを踏まえた検討結果を示し、渇水期も対応可能とした。(政治部・尾原崇也、杉崎素子)

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