田代ダム案、批判続出「再検討を」 JR東海、冬の施設維持取水量考慮せず試算

 静岡県庁で20日に開かれたリニア中央新幹線工事に伴う大井川水問題対策を議論する県有識者会議の地質構造・水資源専門部会で、JR東海がトンネル湧水の県外流出対策として示した東京電力田代ダムの取水抑制案に対して、委員から批判が相次いだ。東電が発電施設維持のために必要とする取水量を考慮せずに渇水時にも対応可能だとする試算結果を提示したことについて「これでは(本当に対応可能なのか)検討できない」と再検討を求める声が上がった。

JR東海が示した田代ダム取水抑制案の検討結果
JR東海が示した田代ダム取水抑制案の検討結果

 JR東海は、田代ダム上流地点で月1回計測している河川流量を基に、河川流量が最も少ない計測日でも県外流出量と同じ還元量を確保できると説明した。
 ただ、東電は県、流域自治体との取り決めで、河川流量が少なくなる12月6日~3月19日、ダム配管の凍結を防ぐために毎秒1・62トンを取水することになっている。試算では、この発電施設維持流量が考慮されていなかった。
 森下祐一部会長(静岡大客員教授)は「1・62という数字が存在するなら計算は吹き飛ぶ」と指摘し、実態に即した試算に改めるよう求めた。難波喬司県理事も会議後の取材で「健全な議論をするには検討が不十分だ」と述べ、JR東海の姿勢にくぎを刺した。
 JR東海の沢田尚夫中央新幹線推進本部副本部長は発電施設維持流量について「承知していない」とし、「まずはわれわれの持っているデータで試算した。(発電施設維持流量を)加味すると(還元量を確保できるか)危うさがさらに増加するということなので、対策を考えたい」と述べた。
 大石哲委員(神戸大教授)が、ダムの取水を抑制して大井川に還元することについて河川法上の問題はないのか改めてただしたのに対し、沢田副本部長は「問題はないと認識しているが、専門家や河川管理者に確認する」とした。

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