初生衣神社 遠州織物の聖地に CFで修繕費募集

 「遠州織物発祥の地」とされる浜松市北区三ケ日町の初生衣(うぶぎぬ)神社(鈴木栄男宮司)を地域の観光や産業の振興につなげようと、地元や織物業者の有志が神社の保存活動に乗り出した。鎮座870年を迎える2025年に向け、老朽化した市指定文化財「織殿(おりどの)」の修繕費をクラウドファンディング(CF)などで募る。幅広く支援を集め、遠州織物の“聖地”として発信する。

鈴木市長(右から2人目)に初生衣神社に関する活動を報告した鈴木宮司(同3人目)ら=浜松市役所
鈴木市長(右から2人目)に初生衣神社に関する活動を報告した鈴木宮司(同3人目)ら=浜松市役所

 初生衣神社は機織りの神「天棚機姫命(あめのたなばたひめのみこと)」をまつり、愛知県三河地方の赤引きの糸を御衣(おんぞ)に仕立てて伊勢神宮に奉納してきたとされる。織殿の修繕が必要になったが、氏子のいない崇敬神社のため、数千万円に上る費用の確保が悩みの種になっている。
 協力を買って出たのは三ケ日町観光協会や織物企画販売「ぬくもり工房」(浜北区)など。神社は地元や織物業界では知られた存在だが、一般の認知度は低いため、トヨタ自動車やスズキが織機製造を母体とした歴史にも触れながらアピールする。CFは年内に開始し、賛同者を募る。
 自助(所有者)や公助(市)に頼らない新たな共助による文化財保護の形として、市の関係者も関心を示す。20日に市役所で活動報告を受けた鈴木康友市長は「注目している。市もしっかりとPRしていく」と期待を寄せた。鈴木宮司は「多くの人に協力してもらい織物の聖地を復活させたい」と意気込みを語った。

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