国産の地雷除去車両を開発 ウクライナ、国土3割が危険

 ロシアの侵攻によって国土の約3割に地雷や不発弾の危険があるウクライナが地雷除去作業を急いでいる。各国の支援で多くの地雷除去車両やトラックが現場に配備される中、地元の農機メーカーが独自に車両を開発。農業の早期再開や住民の安全な暮らしに向けて取り組んでいる。

地雷原を警告する標識=4月27日、ウクライナ北部チェルニヒウ州(共同)
地雷原を警告する標識=4月27日、ウクライナ北部チェルニヒウ州(共同)
地雷除去車両MV―10を操作するウクライナ非常事態庁の職員ら=4月27日、ウクライナ北部チェルニヒウ州(共同)
地雷除去車両MV―10を操作するウクライナ非常事態庁の職員ら=4月27日、ウクライナ北部チェルニヒウ州(共同)
地雷原を警告する標識=4月27日、ウクライナ北部チェルニヒウ州(共同)
地雷除去車両MV―10を操作するウクライナ非常事態庁の職員ら=4月27日、ウクライナ北部チェルニヒウ州(共同)

 ガラガラと大きな音を立て、ブルドーザーのような重機が野原をゆっくりと進む。前方のブレード部分では刃が付いた鎖が回転し、土を掘り起こしていく。操作するのはウクライナ非常事態庁の職員だ。
 「われわれのチームには各国の資金提供で車両や備品が多く配備された。日本からもトラックなどの供与を受けている」。ベラルーシ国境から約60キロのウクライナ北部チェルニヒウ州の野外で、同庁のミハイロ・イリエフさんが説明した。
 車両はMV―10と呼ばれるクロアチア製で、対戦車地雷除去に使われる。1キロ以内なら手元のリモコンで操作でき、地雷が爆発してもけがをする恐れはない。
 人力の場合、1ヘクタール分の作業は5人で5日間かかるが、MV―10なら1日以内に終わる。侵攻開始以来、州内だけで既に6万発以上を除去した。空襲警報で作業を中断することも多いが、イリエフさんは「効率が高まり、助かっている」と話した。
 ウクライナ経済省は2月、国産の新型地雷除去車両を発表した。農機メーカーなどが農作業用トラクターの車台を改造し、地雷爆発の衝撃に耐えられるよう強化した。作業効率はMV―10に匹敵し、既存の生産設備を使うため、費用を抑えられるという。将来的に地雷除去車両の需要は高まるとみられ、メーカーは量産化に向けて準備を進めている。
 ウクライナはトウモロコシや小麦の生産が盛んな農業大国だが、広大な土地が地雷で汚染され、経済にも影響が及ぶ。
 除去作業は誤って地雷を踏んだり、砲撃に遭ったりする危険を伴う。イリエフさんのチームでも5人が死亡した。完全除去には気が遠くなる時間が必要だが、イリエフさんは「一刻も早く自分たちの土地をきれいにするため頑張りたい」と力を込めた。(チェルニヒウ共同)

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