貿易赤字が縮小、5・8兆円に 輸出過去最大、自動車伸びる

 財務省が17日発表した2023年度の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は5兆8919億円の赤字だった。輸出額が自動車の伸びを背景に比較可能な1979年度以降で過去最大となったほか、資源価格が落ち着きをみせ輸入額が減少したことが要因。赤字幅は過去最大だった前年度の22兆579億円から縮小した。貿易赤字は3年連続。

財務省の本庁舎
財務省の本庁舎

 ただイランによるイスラエルへの攻撃で、中東情勢は緊迫化しており、原油価格は今後上昇する可能性がある。さらに外国為替市場では円安進行が加速しているため、輸入額が再び膨らみ貿易赤字が拡大する懸念がある。
 輸出は3・7%増の102兆8983億円。自動車が30・2%増の17兆8771億円で過去最大となり、建設用・鉱山用機械も増えた。輸入は10・3%減の108兆7901億円となった。原油が18・4%減の11兆2914億円で、石炭と液化天然ガス(LNG)も減った。
 同時に発表した24年3月の貿易収支は3665億円の黒字だった。黒字は3カ月ぶり。

 貿易収支 輸出額から輸入額を差し引いた金額。輸出が輸入を上回れば黒字、下回れば赤字となる。財務省が毎月公表する貿易統計で、国・地域別や品目別に取りまとめている。かつては自動車の輸出などで長らく黒字を確保していたが、2011年3月の東日本大震災後は原発停止に伴う火力発電用の燃料輸入がかさみ、赤字が目立つ。

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