「オンライン居場所」で体験、学び 困窮家庭の子、ネット環境課題

 経済的に苦しい家庭の子どもは、体験や学びの機会が限られる傾向がある。そうした機会を提供する「オンライン居場所」について、学習支援のNPO法人キッズドア(東京都中央区)がニーズや課題に関する報告をまとめた。
 昨年9~10月、キッズドアから食料支援などを受けている全国の困窮家庭の保護者916人と、学習支援などを利用している高校生世代の140人にアンケート調査を実施。参加したい企画や期待する効果について尋ねると、保護者は「学習支援」(43%)が最も多く、高校生は「おしゃべり・社交」(34%)が1位だった。
 これを受け、昨年11月から今年1月にかけ親子を対象に、料理を学ぶ、「推し」を語り合うなど五つのオンライン居場所を試行的に実施した。
 参加者の感想は、「初めてお菓子を作って楽しかった」「子どもと特別な時間を過ごせた」(菓子作り)、「学校でこうした授業がないため勉強になった」「違う場所に住む、同世代の知らない子と知り合え感動した」(プログラミング)など。全般的に高い評価を得た。
 一方、アンケートでインターネット通信回線がない家庭が9%、回線はあるが容量が制限されている家庭が15%存在すること、所得が低いほど回線がない割合が大きいことも判明した。子どもが自由に使えるパソコンがある家庭も限られていた。
 渡辺由美子・キッズドア理事長は「体験格差を埋めるためのオンライン居場所づくりを、環境整備とセットで進めていく必要があります」と話している。

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