洋上風力をEEZで展開へ法改正 脱炭素推進、12日に閣議決定

 政府は、洋上風力発電を排他的経済水域(EEZ)で展開できるようにする再エネ海域利用法改正案を12日に閣議決定する。今国会での成立を目指す。「領海と内水」に限られていた対象範囲をEEZまで拡大。洋上風力発電を脱炭素推進に向けた「切り札」と位置付け、導入を後押しする。政府関係者が11日明らかにした。

洋上風力発電の主な特徴
洋上風力発電の主な特徴

 領海内では、政府が現行の再エネ海域利用法に基づき秋田県沖や千葉県沖などを促進区域に指定し、商業運転開始に向けて準備が進んでいる。洋上風力の発電能力を2040年に原発約45基分に相当する最大4500万キロワットとする政府目標を達成するには、日本が持つ広大なEEZも活用すべきだと判断した。
 改正案は、自然条件などが適合する海域を政府が「募集区域」(仮称)に指定。事業者は事業計画を提出後、漁業者ら利害関係者を含む協議会で議論し、理解を得られれば国土交通相と経済産業相が許可を出す仕組み。
 洋上風力は現在、水深が浅い海底に土台を固定する着床式が主流だが、EEZは深い海域が多く、海上に浮かべる浮体式が中心となる見込みだ。
 洋上は、陸上に比べて強い風が安定的に吹くため風力発電に適しているとされる。政府は50年に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標を掲げる。21年に決定した「第6次エネルギー基本計画」では、洋上風力を「大量導入やコスト低減が可能で経済波及効果が大きい」として導入を拡大する方針を示している。

 EEZ(排他的経済水域) 沿岸国の経済的な権利が及ぶ水域の範囲。「海の憲法」と呼ばれる国連海洋法条約は、沿岸から200カイリ(約370キロ)以内と定めており、漁業などに関する国内法令を適用できる。領海は沿岸から12カイリ(約22キロ)で、海底を含めて沿岸国の主権が及ぶ。日本の領海とEEZを合わせた面積は約447万平方キロで世界有数の広さ。

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