ウクライナで爆発物探知犬が活躍 地雷除去「ハチ公のライバル」

 【キーウ共同】国土の約3割が地雷や不発弾で汚染されたウクライナで爆発物探知犬が除去作業で活躍している。全土で14頭が活動中で、その中の一頭の「パトロン」はジャック・ラッセル・テリアの雄で4歳。尻尾を振り元気に動き回る姿が交流サイト(SNS)などで拡散し、アニメや漫画も登場。子どもへの啓発活動も担い、その人気から「ハチ公のライバル」とも言われる。

爆発物探知犬パトロンと飼い主のミハイロ・イリエフさん=10月14日、キーウ(共同)
爆発物探知犬パトロンと飼い主のミハイロ・イリエフさん=10月14日、キーウ(共同)

 パトロンと、飼い主で北部チェルニヒウ州の非常事態庁の職員ミハイロ・イリエフさん(34)のチームは侵攻後に同州だけで3千回出動し、3万2千個の爆発物を処理。ロシアに一時占領された東部や南部地域にも出張する。
 9日までに共同通信の取材に応じたイリエフさんは「小柄な体は作業にプラス。大切なチームの一員だ」と話した。
 ゼレンスキー大統領が昨年5月、パトロンの功績をたたえて表彰。同年のフランス・カンヌ国際映画祭では、優れた演技を披露した犬に贈られる「パルムドッグ賞」の特別賞も受けた。
 パトロンはイリエフさんが息子にプレゼントしたが、優れた嗅覚を発揮し、才能を見込まれて生後3カ月ごろから訓練を受け始めた。イリエフさんによると、パトロンの体重は約4キロで、対人地雷の上に乗っても十分な圧力が加わらず、爆発を免れる。ロシア軍が仕掛けたロープのわなにも引っかかりにくいという。
 イリエフさんは「パトロンは仕事が大好きなようだ。毎朝ドアの前で私が仕事に出かけるのを待っている」と紹介。任務のごほうびはチーズ。日本が供与した不発弾の運搬用トラックをチームで活用しており「作業が速く楽になり、とても役立っている」と感謝した。
 地雷が埋まる場所は前線に近く、ロシア側からの攻撃にさらされながら、危険物を扱う作業になる。非常事態庁によると、これまでに作業中の職員ら81人が死亡、約300人が負傷した。地雷に誤って触れるなどして死亡した市民は子ども14人を含む261人に上る。

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