「歴史上、特異な存在」 羽生会長、藤井八冠に感想

 日本将棋連盟会長の羽生善治九段(53)は20日、東京都渋谷区の将棋会館で取材に応じ、史上初の全八冠独占を成し遂げた藤井聡太竜王・名人・王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖(21)について「驚くことではない。安定した対局を続けたのがこの結果につながった。歴史の中でも特異な存在と思う」と述べた。

史上初の全8タイトル独占を成し遂げた藤井聡太八冠に対し、感想を述べる日本将棋連盟会長の羽生善治九段=20日午後、東京都渋谷区の将棋会館
史上初の全8タイトル独占を成し遂げた藤井聡太八冠に対し、感想を述べる日本将棋連盟会長の羽生善治九段=20日午後、東京都渋谷区の将棋会館

 1996年、羽生九段は7タイトル時代に全冠制覇を達成。2017年に叡王が加わり、過去最多の8タイトル戦となってから藤井八冠が初の全冠独占となった。羽生九段は当時を振り返りながら「慌ただしい日々だった。藤井八冠は冷静なので自分のスタンスを貫いている」と話した。
 八冠独占が懸かり、注目のシリーズとなった王座戦5番勝負。藤井八冠は永瀬拓矢九段(31)を3勝1敗で破り、王座を奪取した。この戦いを羽生九段は「永瀬九段の用意が周到で藤井八冠も苦慮させられた。見どころの多いシリーズだった」と振り返った。
 羽生九段は全七冠独占から5カ月半後に棋聖を失い、その後全冠復帰はできなかった。今後は藤井八冠が8タイトルをどこまで維持できるのか、注目となる。羽生九段は「先は想像しづらい。藤井八冠の将棋を基礎として勉強して育った人が出てきたら興味深い」と語った。

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