サイバー空間も攻撃の応酬 アプリ乗っ取り偽警報か

 パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエルの大規模戦闘を巡り、サイバー空間でも双方の応酬が始まった。親パレスチナのハッカー集団はイスラエルの警報アプリをハッキングして偽警報を出したり、電力インフラの情報システムを攻撃したりしたと主張。戦闘が激化すればハッカーが次々と攻撃に加わり、混乱が深まる可能性がある。

ハッカー集団がイスラエルの空襲警報アプリをハッキングし、核攻撃の偽警報を表示させたと主張する画面
ハッカー集団がイスラエルの空襲警報アプリをハッキングし、核攻撃の偽警報を表示させたと主張する画面

 ロシア系のセキュリティー企業「グループIB」によると、ハマスによる7日のロケット弾攻撃から間もなく、親パレスチナのハッカー集団「アノンゴースト」によるサイバー攻撃が始まった。イスラエルの空襲警報アプリのチャット機能を乗っ取り、偽警報を次々と出して混乱を引き起こしたと主張。「核攻撃が来る」との偽警報も表示させたという。アノンゴーストは「全てのハッカーや人権団体にイスラエルへの攻撃に参加するよう呼びかける」とテレグラムに声明を出した。
 親ハマスの「サイバーアベンジャーズ」と名乗る集団はイスラエル電力公社を攻撃して機密情報を盗んだと表明した。日本に攻撃したことがあるロシアの「キルネット」は「ウクライナ支援への報復」を名目にイスラエルに攻撃するという。
 一方、イスラエル支援のハッカー集団も動きを強めている。「ガルナ」はパレスチナの学校や病院などのネットワーク機器200台以上を乗っ取ったと主張し、自治政府の複数のサイトを閉鎖させたとしている。ガザのプロバイダー(接続業者)を乗っ取り、5千台以上のサーバーを停止させたと主張するハッカーも現れた。「戦争が嫌いなので、イスラエルとパレスチナの両方に攻撃を続ける」と表明している。
 政治的な主張を目的にサイバー攻撃をするハッカー集団は「ハクティビスト」と呼ばれ、近年は過激化している。ウェブサイトを改ざんしたり、大量のデータを送り付けて閲覧不能にしたりする手口が多く、主張には誇張や虚偽が含まれていることもある。

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