5月の経常黒字1・8兆円 資源価格高騰が一服で2・4倍

 財務省が10日発表した5月の国際収支速報によると、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支は、前年同月の2・4倍となる1兆8624億円の黒字だった。黒字は4カ月連続。資源価格の高騰が一服し、輸出から輸入を差し引いた貿易収支の赤字幅が縮小。訪日外国人客の増加で、旅行収支の黒字拡大も追い風となった。一方、海外経済の減速を背景に輸出は2年3カ月ぶりに減少した。

財務省
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経常収支の推移
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経常収支の推移

 経常収支のうち、貿易収支の赤字幅は1兆1867億円で、7514億円縮小した。輸出は、最大貿易相手国である中国の経済が振るわないことなどから2・8%減の7兆2412億円だった。輸入は8兆4279億円で、減少率は輸出を大幅に上回る10・2%だった。円ベースの原油の単価が16・1%下落したことを反映し、原油や液化天然ガス(LNG)が減少した。輸入の減少は2カ月連続となる。
 海外投資の利子や配当収入の動向を示す第1次所得収支は黒字額が17・0%増の3兆6319億円で、5月として過去最高だった。円安により、受け取った外貨を円換算した金額が膨らみ、海外の金利上昇も寄与した。
 旅行収支の黒字は8・5倍の2744億円まで膨らんだ。ただ、海外向けのインターネット広告費の支払いがかさみ、サービス収支全体だと2409億円の赤字となった。赤字幅は590億円拡大した。
 寄付や贈与の第2次所得収支は3418億円の赤字だった。

 経常収支 財務省が毎月公表する国際収支の代表的な指標。日本と海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示し、日本に入ってくるお金が海外に出ていくお金より多いと黒字、少ないと赤字になる。モノの輸出額から輸入額を差し引いた「貿易収支」、旅行者によるお金の出入りなどを示す「サービス収支」、海外保有資産からの利子や配当収入などを表す「第1次所得収支」、寄付や贈与の「第2次所得収支」で構成される。

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