国際指針「AI原則」見直し検討 OECD、普及拡大を反映

 経済協力開発機構(OECD)が、「チャットGPT」に代表される生成AI(人工知能)の急速な普及を踏まえ、国際的な政策指針「AI原則」を見直す検討に入ったことが29日、分かった。原則は、AI開発者らに法の支配や人権を尊重することなどを求めており、加盟国が政策立案の参考にしている。原則の見直しは、各国のAI戦略にも影響を与えそうだ。

経済協力開発機構(OECD)のAI原則
経済協力開発機構(OECD)のAI原則

 AIを巡っては、先進7カ国(G7)でも国際的なルール形成に向けた動きが本格化しており、30日にオンライン形式で事務レベルの作業部会を開く。OECDはこうしたG7の議論と歩調を合わせる見通しだ。
 原則は2019年に公表された。法的拘束力はないが、AIの開発や運用に当たっての指針を示しており、AIに関する初の多国間の共通基準とされる。
 具体的には「透明性」や「安全性」を含む五つの原則を提示。人間にとって有益になるようにAIの管理・運用に取り組むことや、開発者や運用者に民主主義的な価値観を尊重することなどを求めている。
 原則には、当初から一定期間内に見直しを検討する取り決めがあるという。日本政府関係者は、利用者の求めに応じて文章や画像を作り出す生成AIの急速な普及で見えてきた課題が、原則に反映されるとの見通しを示した。
 生成AIは、仕事の効率化につながるとして民間企業や自治体で導入の動きが広がる一方、インターネット上の膨大なデータを学習することから、不適切な個人情報の収集への警戒も強い。 

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