ジャニーズ性加害問題 時代の変化理解できず 追い込まれ謝罪の事務所【大型サイド】

 創業者の故ジャニー喜多川前社長による性加害問題を巡り、ジャニーズ事務所が「ファンや関係者に大きな失望と不安を与えた」と謝罪に追い込まれた。被害の有無をあいまいにしたまま、動画と文書による一方的な謝罪で幕引きを図ろうとする姿勢だが、識者は時代の変化を理解できていないと批判する。

東京都港区のジャニーズ事務所
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 14日午後9時、ジャニーズ事務所の公式サイトで、神妙な面持ちで頭を下げ謝罪する藤島ジュリー景子社長の動画が公開された。同時に公表した藤島社長名の文書では、「異常」と評した前社長時代の経営実態を赤裸々に明かした。
 文書によると、タレントのプロデュースは前社長が、会社運営の全権は姉の故藤島メリー泰子元名誉会長が担い、2人以外に発言権はなかったという。取締役会も開かれず、重要な情報はトップ2人以外知ることがなかったと強調した。
 映画界、自衛隊…。性加害を告発する流れは社会に広がる。企業統治に詳しい八田進二青山学院大名誉教授は、同事務所の対応について「時代が変わっていることを理解できていない」と手厳しい。上場企業ではないとはいえ「青少年のタレントを売り出し、若い人に影響を与え、社会的責任は大きい」と指摘する。
 藤島社長は性被害を知らなかったと説明したが、八田氏は「訴訟にもなり、気付く場面は山ほどあったのではないか」と疑問を呈す。「短期間でも良いので、芸能界に精通し公正な判断ができる人を社長に迎えて権限を委譲し、全面的な改革が必要だ」とした。
 日本を代表する芸能事務所を巡る問題は、同事務所所属タレントの出演番組を多く抱えるテレビ局にも重い問いを突き付ける。
 英BBC放送が3月、前社長の性加害問題をテーマにしたドキュメンタリー番組を放送。ある在京キー局の報道関係者は「この問題を扱いたいと現場が言った時、上司も理解しつつ『いろいろあるから…』とも発言。一方の当事者が亡くなっているという難しさもあり、扱うタイミングに苦慮した」と取材に踏み切れなかった思いを明かす。
 4月、元ジャニーズJr.のカウアン・オカモトさんが記者会見で性被害を告発。それから約1カ月後、TBSは報道番組「news23」で約10分間にわたりこの問題を特集。オカモトさんに加え、別の男性が被害を告発する証言も放送した。
 小川彩佳キャスターは「果たして、報道機関がどれだけこうした被害を報道してきたのか。少なくとも、私たちの番組ではお伝えしてこなかったという現状があります」と釈明した上で「今後、こうした訴えをしっかりと受け止め、報道していきたい」と結んだ。

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