中国、日本人へのビザ発給再開 経済優先、対抗措置撤回

 【北京共同】在日本中国大使館は29日、日本政府による新型コロナウイルスの水際対策強化への対抗措置として停止していた日本人に対する渡航ビザ(査証)発給について、同日から手続きを再開すると発表した。中国政府が制限緩和に踏み切ったことで、今後、両国間の人的往来が活発化する方向へ向かいそうだ。

北京の地下鉄の駅に掲げられた日本をPRする看板の前を歩く人たち=29日(共同)
北京の地下鉄の駅に掲げられた日本をPRする看板の前を歩く人たち=29日(共同)
在日本中国大使館=11日、東京都港区
在日本中国大使館=11日、東京都港区
北京の地下鉄の駅に掲げられた日本をPRする看板の前を歩く人たち=29日(共同)
在日本中国大使館=11日、東京都港区

 日本の水際対策について、中国は秦剛外相が「中国国民の往来への差別的な措置」と厳しく批判するなど、対抗措置の正当性を強調していたが、自国の経済回復を優先し措置撤回を決めたとみられる。
 ビザ発給停止について、岸田文雄首相が「新型コロナ対策とは一見、関係がないと思われる制限を一方的に行い、極めて遺憾だ」と述べ、外交ルートを通じて抗議し、撤回を求めていた。
 中国政府は、中国からの入国者への短期ビザ発給を制限した韓国に対しても、同様にビザ発給を停止する対抗措置を取っている。韓国政府は27日、発給制限を2月28日まで延長すると発表しており、中国は韓国については手続き再開を発表していない。
 中国は国内各地で新型コロナ流行が拡大していた中で、今月8日に感染対策を抜本緩和したため、日本政府は中国出国前72時間以内の陰性証明の提出を義務付けた。これに反発した中国は10日にビザ発給の停止を発表し、11日には乗り継ぎでの一時入国の優遇も止める追加措置を明らかにしていた。
 在中国日本大使館は、日本政府は中国人の訪日ビザを制限していないとして「中国外務省は各国の入国規制に対等の措置を取ると言っていたのに、対等さが完全に欠けている」と批判していた。

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