富士山学術委の遠山委員長退任へ 登山鉄道は「慎重に検討を」

 静岡、山梨両県の有識者でつくる富士山世界文化遺産学術委員会の遠山敦子委員長(元文科相)が26日、2020年度末で退任すると表明した。同日、開かれた学術委のウェブ会合で退任のあいさつをし「英知を集めて富士山を守ってほしい」と後進に呼び掛けた。

遠山敦子さん
遠山敦子さん

 遠山氏は06年に富士山の2県学術委員長に就任し、現在の学術委に移行した12年から現職。13年6月の世界遺産登録に貢献した。ユネスコから課された富士山保全状況報告書の提出を20年12月までに終え、一定の区切りがついたと判断して退任を決めた。県富士山世界遺産センター(富士宮市)の館長職は引き続き担う。
 ウェブ会合では、山梨側で検討されている富士山登山鉄道構想に、学術委が提言した遺産影響評価の実施が検討課題として盛り込まれたことを確認。遠山氏を含め、2県学術委の時代から委員を務めてきた7人が退任するとの報告もあった。
 遠山氏は会合後の取材に、富士山登山鉄道構想が世界遺産登録以来の大規模事業になりうるとし「富士山の普遍的な価値を高めるものであればいい。拙速に陥らないよう慎重に検討を進めるべきだ」と指摘。学術委のチェックと助言が重要になるとの認識を示した。

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