井出ちよの ソロ新作は「高校生活のドキュメンタリー」

 アイドルグループ「3776(みななろ)」「うさぎのみみっく!!」のメンバーとして活動する井出ちよの(19)=富士市出身=が、ソロ新作「わたしの高校生活」をリリースした。2017年の高校入学から卒業直後までに発表したCD-Rシリーズ「季刊井出ちよの」11作から9曲を収録。プロデューサー石田彰(富士宮市)による高密度のトラックに乗せ、リアルな高校生活を奔放に歌う。

「石田さんの曲を小5から歌っている」と話す井出ちよの
「石田さんの曲を小5から歌っている」と話す井出ちよの

 音楽誌で高く評価された16年の前作「もうすぐ高校生活」と同様、高校1年1学期から高校3年3学期までの九つの学期に起こった出来事に対応させた9曲が並ぶ。17年11月に「季刊井出ちよの」第1弾として発表した楽曲「恋する仔[こ]羊」では恋愛相談を受ける牧師に自身をなぞらえ、18年2月発表の「持久走」では体育の授業中に校舎外周を無気力に走る姿を描写する。
 「学期が終わるごとに作詩作曲を手掛ける石田さんとミーティングして、何があったか全部話す。それが歌詞になってできてくる」。ほぼ3カ月に1度、作品をリリースし続けた。「歌詞の半分は現実に起こったこと。こうして9曲通して聴くと、自分の高校生活のドキュメンタリーのよう」と振り返る。
 賛美歌や仏作曲家エリック・サティの楽曲のフレーズ、ニーチェや宮沢賢治の言葉を織り込んだ石田の楽曲はギターポップあり、ディスコ調あり、スラッシュメタルあり。「石田さん以外に誰も生み出せないタイプの曲ばかり。歌う立場としては、前作から難度が数段上がった」
 2年2学期のクラス担任交代を歌った「ぼんくら先生」では、「ぼんくら」の四文字を美しいコーラスで連呼する。10分を超えるラスト曲「わたしの高校生活」は新型コロナウイルス感染拡大で卒業式が中止になったいきさつを情感豊かに歌う。聴き手の予測を裏切り続けるコード展開と奇想天外なメロディーがアルバム全体を貫く。
 「私の高校生活が音と言葉を伴って鮮明に作品化されている。聴き手の皆さんの高校時代に重ねて楽しんでほしい」と話す。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞