富士参詣曼荼羅、修復後初の公開 かぐや姫ミュージアム

 富士市の富士山かぐや姫ミュージアムのテーマ展「富士参詣曼荼羅(まんだら)の世界」が19日、同所で始まった。愛知県常滑市の松栄寺所蔵「松栄寺本富士参詣曼荼羅」を修復後、初めて公開した。中世末期の西国からの富士登山の様子を示す貴重な資料に来館者が見入っている。10月18日まで。

修復後初めて公開された松栄寺本富士参詣曼荼羅=富士市の富士山かぐや姫ミュージアム
修復後初めて公開された松栄寺本富士参詣曼荼羅=富士市の富士山かぐや姫ミュージアム

 同館は2016年に、松栄寺から曼荼羅を預かり、修復作業を行ってきた。テーマ展では、他の富士参詣曼荼羅の複製や富士登山案内図、台帳など20点余りを並べ、松栄寺本の内容をひもといた。修復前の複製なども展示し、文化財の修理技術も紹介している。
 松栄寺本富士参詣曼荼羅は縦約183センチ、横148センチ。参詣者を導く富士先達を務めた同寺が富士講組織の儀礼で富士登山の様子を伝えるため、16世紀末~17世紀初めに制作されたとみられる。
 曼荼羅には、富士川西岸の旧岩淵村や渡船場を行き交う人々、本宮(富士山本宮浅間大社)、興法寺(村山浅間神社)を経由し、参詣者がたいまつを持って山頂を目指す様子が描かれている。女性の立ち入りが許された中宮八幡堂には女性の髪がつるされ、凡夫川では下山者が水ごりする姿も分かる。

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