ノーベル化学賞吉野さんに県民栄誉賞 知事「偉業は希望の星」

 静岡県は4日、リチウムイオン電池の開発で2019年にノーベル化学賞を受賞した旭化成名誉フェロー吉野彰さん(72)への県民栄誉賞の贈呈式を県庁で行った。川勝平太知事が吉野さんに表彰状や盾を手渡し、世界的な偉業をたたえた。

県民栄誉賞を受賞した吉野彰氏=4日午後、県庁
県民栄誉賞を受賞した吉野彰氏=4日午後、県庁

 吉野さんは05年から約10年間、富士市の同社富士支社の吉野研究室でリチウムイオン電池の高性能化の研究に取り組んだ。贈呈式後の記者会見で吉野さんは、基礎研究や事業化を経て他企業との競争に直面する“ダーウィンの海”と呼ばれる試練を富士支社で経験したとして、「一番しんどい部分の研究を静岡県で続けた」と振り返った。
 リチウムイオン電池の普及に、IT革命が大きな推進力になった歴史にも言及した。後進の研究者や若者に向け「環境問題の解決のため、これからIT革命に次ぐ新たな変革が起こる。世界が大きく変わるとき、若い人にチャンスが生まれる。これを逃したら人生に悔いが残りますよ」と挑戦を促した。
 川勝知事は「吉野先生のようになりたいと願う少年少女にとって、先生の偉業は希望の星」と祝福した。県民栄誉賞受賞者は吉野さんが6人目。
 この日は富士市も吉野さんへの市民栄誉賞贈呈式を市役所で行った。

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