【那覇市のお土産Tシャツ専門店「南洋幻想」】実は静岡ゆかり!? 憧れの南国ムード漂う3月開業のノスタルジックな注目ショップ

静岡県のアートやカルチャーに関するコラム。今回は3月5日、那覇市にオープンした沖縄お土産Tシャツ専門店「SOUVENIR STORE 南洋幻想 Tropical Fantasy 」と静岡県のつながりを題材に。
(文と写真=社会部・菊地真生)

「南洋幻想」を開業した長澤さん(右)と横須賀さん


那覇市の国際通りの裏にある浮島通りをさらに入った住宅街。ひっそりとたたずむ古民家の中に入ると、サーターアンダギーや天ぷら、タコスなどの沖縄名物をモチーフにしたたくさんのTシャツが並んでいる。3月5日、沖縄お土産Tシャツ専門店「南洋幻想(なんようげんそう)」がオープンした。実はこのお店、静岡県ゆかりの30代が手がけている。

店主の長澤拓憧さん(34)と山下貴大さん(34)は、静岡市駿河区でTシャツの企画・製造をする会社を経営している。熱海市でお土産開発を手がけたお土産プロデューサーの横須賀馨介さん(36)とタッグを組み、昨秋から沖縄での新店舗準備を進めた。

現地でのフィールドワークを重ね、米軍文化の影響が強い沖縄ではストリートやヒップホップのテイストの強いデザインが主流なことに気づいた。「写真と文字を組み合わせたデザインがあまりなかった。女の子が手に取りやすく、沖縄らしくてかわいいモチーフのフォトTシャツを作りたかった」と長澤さんは振り返る。

 

商品のラインナップは30種近く。ヤシ、カエンボク、アダンの実といった島に咲く南洋植物の写真や、サンスクリット文字風のフォントが特徴的なウージ(サトウキビ)といった変わり種も。1番人気はサーターアンダギー柄。Tシャツに採用する写真は横須賀さんが撮影し、店舗のロゴやTシャツのグラフィックについては、クリエーティブチーム「SUEKKO LIONS(c)」のデザイナー吉田雅崇さんがフォントデザインを手がけた。

ヤシ、カエンボク、アダンの実のフォトT


店名の「南洋幻想」は、日本人が「南の島」や「南洋」に対して抱く、憧れやノスタルジーを含んだロマン的なイメージ、あるいはその概念を意味する。店内にはスチールギターが印象的なBGMが流れ、南国のノスタルジックなムードを漂わせる。ちなみにこのBGMは、映画『ウォーターボーイズ』の音楽などで知られる松田“CHABE”岳二さんに依頼したそう。トロピカルな色合いの瑪瑙(めのう)石でできたシーサーは店のシンボルとなっている。「南国や沖縄に対してみんなが抱いている憧れのイメージを具現化させたかった」と横須賀さんは強調する。

 

内装デザインを担当した横須賀さんは「1990年代から2000年代のデパートの水着売り場の楽しい感じを作りたかった」とコンセプトを語る。開店作業中の3か月間、現地の人と会い、街中の看板などからインスピレーションを得た。「店に来て服を買う文化を回帰させたい」との思いで作ったビニール製のショップバッグは、今の30代にとっては懐かさを覚えるアイテムだ。

 

お土産Tシャツ店として開業してから1カ月が経過したが、意外にもユーザーの半数以上は地元の人々だ。「地元民も着られる地元Tシャツが欲しかった」との声が寄せられ、リピーターが早くも訪れている。「上京した息子にあげるとか、米国の息子たちに贈るとか、沖縄ならではの反応もある」と長澤さん。沖縄では、学校の部活動で着る練習着やユニホームのことを「部着(ブギ)」と呼ぶことから、ブギをイメージした南洋幻想のロゴTシャツも開発した。「地元に愛されつつ、観光客がまた沖縄に来たくなるお店づくりを目指している。今後は観光名所や老舗、ユニークな建築物やまだあまり認知されていない文化をモチーフにしたTシャツを作り、新たな沖縄の楽しみ方を発信したい」と先を見据える。

 

2泊3日で沖縄本島を旅行で訪れた筆者は、南洋幻想を英訳した 「Tropical Fantasy」とロゴ入りのキャップと、旅行中に備瀬のフク木並木近くでも見つけたアダンの実のプリントTシャツを購入した。旅先から南国ムードを持ち帰り、日常生活の中でも着られそう。今から夏が楽しみだ。

〈DATA〉
■SOUVENIR STORE 南洋幻想 Tropical Fantasy 
住所:那覇市松尾2-4-4
営業時間:正午~午後5時(不定休)

 

静岡県に関係する文化芸術、ポップカルチャーをキュレーション。ショートレビュー、表現者へのインタビューを通じて、アートを巡る対話の糸口をつくります。

あなたにおすすめの記事

人気記事ランキング

ライターから記事を探す

エリアの記事を探す

stat_1