「人にもいいし、地球にもいい」日本最大級のキウイ農園が進める「循環型農業」【SDGs】

静岡県掛川市のキウイフルーツ農園が、環境にやさしい「循環型農業」の実践に力を入れています。農園が積み重ねた経験は、世界に広がろうとしています。

掛川市の「キウイフルーツカントリーJapan」は、日本最大級のキウイ農園で、85種類のキウイを栽培し、食べ放題のほかキャンプなども楽しめます。

この観光型の農園が取り組んでいるのが「循環型農業」です。化学肥料や農薬の使用を抑え、自然環境への負担を減らしています。

バーベキューや焚き火の煙で害虫を予防します。

<キウイフルーツカントリーJapan 平野耕志代表>
「これをすることで病害虫の発生割合が3割減る。3割減ると農薬をまかなくてもキウイの場合は栽培ができるようになる。お客さんにも農家側にもWINWINの仕組みが作れたと思う」

来園者が食べたキウイの皮は、園内で飼育するヒツジやウサギの餌になります。糞はたい肥にして、栄養価の高い土づくりに役立てています。

<平野代表>
「動物は、農園の草も食べてくれて除草管理もしてくれる。普段お金がかかるところを動物たちが頑張って、循環の中でやってくれていると思う」

<掛川支局 伊豆川洋輔記者>
「ここは?」
<平野代表>
「森の湧き水がずっと山の上から来てこちらにたまっていくような仕組みになっています」

キウイの栽培に使う水は、園内で循環させています。森の湧き水がたまった池で、生き物が暮らし、排泄などをすることで窒素成分が増え、キウイの生育により適した水になります。この水を丘の上の貯水池に送り、畑にまいています。

<平野代表>
「普通、窒素は肥料として買うが、肥料を買わなくても農業ができる」

この農園では本来、肥料代が年間100万円以上かかるところ、「循環型農業」よって、30万円ほどで済んでいます。

平野代表「人にもいいし、地球にもいいっていうのが、僕たち農家の考える最も大事なことのひとつで、循環型農業は欠かせないものになっていくと思う」

物価高による資材の高騰や化学肥料による環境への負担などから循環型農業の必要性は増しています。

平野さんは2012年からの2年間、JICA海外協力隊としてアフリカのザンビアで、野菜や果樹の栽培を通した栄養指導や農家の収入の向上に向けた指導を経験しました。

<平野代表>
「(ザンビアの農家は)一日8時間しても200円ぐらいの対価しかないので貧困から抜け出せない現状がある」

平野さんは2025年2月、再びザンビアの農家を訪ねました。貧困に苦しむザンビアの農家に、循環型農業の仕組みを教えました。

10年前と比べ、農家をめぐる環境はさらに悪くなっていると言います。

<平野代表>
「(ザンビアは)トマトが4つで10円とか、20円の世界なので、でも、肥料とか農薬は日本と一緒ぐらいの価格で売られている。最近は干ばつなどでより大変になっている。なんとか経費を浮かせられるように、循環型農法で解決できればと思ってる」

掛川のキウイフルーツ農園が取り組む循環型農業。その経験は世界に広がろうとしています。

「あしたを“ちょっと”幸せに ヒントはきょうのニュースから」をコンセプトに、静岡県内でその日起きた出来事を詳しく、わかりやすく、そして、丁寧にお伝えするニュース番組です。月〜金18:15OA

人気記事ランキング

ライターから記事を探す

エリアの記事を探す

stat_1