2022年3月、浜松市で高齢夫婦と兄が殺害された事件の裁判員裁判で、静岡地裁浜松支部は1月15日、被告の男に懲役30年の実刑判決を言い渡しました。被告の男の責任能力などが問われ、裁判は長期化していました。
判決を受けたのは、浜松市中央区佐鳴台の無職の男(25)です。判決によりますと被告の男は2022年3月、浜松市内の自宅で祖父母と兄の3人をハンマーで殴るなどして殺害しました。
被告の男は、「解離性同一性症」の診断が受けていて、これまでの公判で一貫して殺害を否認。犯行の記憶はないとしたうえで、自分の身体を乗っ取る別人格「ボウイ」が3人を殺害したと述べてきました。
これまでの裁判では被告の男の「責任能力の有無」を中心に審理が行われ、検察側は被告の男が犯行当時「別人格」に乖離していたとしても「結局のところ、被告の思考や感情に基づいた犯行」だとして責任能力はあると主張。これに対し、弁護側は犯行は「別人格」によるものとしか考えられず、当時、被告の男は別人格をコントロールできない心神喪失の状態であったことから責任能力はないとして、無罪を求めました。
15日午後1時半から静岡地裁浜松支部で始まった判決公判で、來司直美裁判長は検察側の無期懲役の求刑に対し、懲役30年を言い渡しました。