女性アナがJリーグ公式映像で初めて実況を担当!SBC信越放送の平山未夢さんにペナルティ・ヒデ「いやー、プロだわ」
鬼頭:9月7日に行われたJ3リーグの松本山雅FC対大宮アルディージャ戦で、女性アナウンサーが初めてJリーグの公式映像実況を担当したと話題になったんですよ。
ヒデ:僕としては、遅すぎるんじゃないかなぐらいですよ。
鬼頭:今日はその試合で実況をされましたSBC信越放送の平山未夢アナウンサーをリモートゲストでお迎えしております。
ヒデ:平山さん、坂道系にいそうな感じね。
鬼頭:確かに。完成された女子アイドルな感じ。キラキラしてますよね。
ヒデ:アナウンサー歴は何年ぐらいになるんですか?
平山:今ちょうど入社3年目になります。
熱血ディレクター「最初からいけると思ってた」
ヒデ:サッカーはやられてたんですか?平山:いや、自分はやっていなかったです。入社した時も、特にスポーツ志望のスの字もなかったです。
ヒデ:誰に言われたんですか?
平山:いろいろ仕組まれまして(笑)弊社に熱血スポーツディレクターがおりまして。入社2ヶ月目、まだニュースデビューもしてない時に、その熱血スポーツディレクターから「この人たちの実況を見るといいよ」っていうリンク集が送られてきていたことが最近判明したんです。確認したところ、「最初からいけると思ってた」と。
ヒデ:ディレクターさんに先見の明があったと。
シャドーイングで実況の練習
ヒデ:ディレクターに実況の話をされた時に「できるわけないでしょ」とか思ったんじゃないですか?平山:そうですね。最初に実況を担当したのは、今年5月にあったWEリーグです。2年目の冬くらいに話をされて、「できない」と言うのが嫌で…。でも日記を振り返ると「嫌だ、やりたくない」とつづってありましたね。
ヒデ:プロとして引き受けた以上はやろうと思ったんですね。めちゃくちゃ大変じゃなかったですか?まず選手全員を覚えるわけでしょ?
平山:はい。本当にここだけの話で言うと、例えば「好みのイケメン」とかメモに書いてました。
ヒデ:はいはいはい。
平山:誰にも見せられない独特の方法で、まず見た目を覚えます。それから、例えばボランチだったらどういうタイプか、フォワードだったらどういうタイプかを覚えました。最終的には目を細めた時に選手が大体分かるような、フォルムで捉えられるようにしています。
ヒデ:いや~、プロだわ。
鬼頭:髪型を変える人もいるし、控えの選手とかアウェーの選手なんて本当に分からんですよ。
ヒデ:選手だけじゃなくて、ルールも覚えなきゃいけない。本を読み漁ったり、いっぱい試合をご覧になったりして覚えてったんですか?
平山:そうですね。一番練習としてやったのは「シャドーイング」です。他のプロの実況者さんが喋っている試合をひたすらブツブツ言い続けました。
鬼頭:すごいな~。
平山:実況界ではよく名前が挙がると思うんですけど、下田恒幸さん。SBSさんに近いところでいいますと、元SBSの瀬崎一耀さんの実況を聞きました。
鬼頭:え!瀬崎君のシャドーイングされてる(笑)
平山:結構参考にさせていただいてます(笑)下田さんの実況も参考にはなるんですけど、J3は1人喋りなので。
鬼頭:そこですよ、解説なしですから。
初の実況はどうだった?
ヒデ:終わった後どうだったんですか?平山:後半のあたりは「0点だ」って思いながら喋っていました。
ヒデ:何が難しかったですか?
平山:どこかで試合に集中できていない自分がいたといいますか…。最後の笛が吹かれた後、「できなかった」「今すぐ帰って練習したい」みたいな感じでした。
ヒデ:選手と一緒ですよ。試合が終わったら、もう次に向けて練習ですもんね。
平山:もっと練習の強度を上げなきゃなと思いました。
ヒデ:はっは~、あなた結構メンタル強いですねぇ!
鬼頭:社内のディレクターの反応はどうだったんだろう?
平山:熱血ディレクターからは「もっとできたね」と言われました。
鬼頭:でも愛があるよ。
合言葉は「受験生を超える夏を過ごそう」
ヒデ:Jリーグ公式試合の実況のお話を聞いたとき、どういう気持ちになられたんですか?平山:WEリーグの実況を終えた後に、「この感覚、やばい」みたいな、アナウンサーが「やばい」を表現に使ってしまうほど、とりつかれるような実況の楽しさがありました。そこから、熱血ディレクターが「もしできることならJリーグをやらせたい」と言ってくださったんですよ。
ヒデ:どうせなら上に行きたいよね。
平山:でも、まさかできるなんて私は思ってもいなくて。まず、担当の松本山雅の試合の90分間のデモ音源を、まさに今私のいる狭いラジオブースで録ったんです。
鬼頭:1試合分?
平山:無音の状態で試合を観ながら録って、それをJリーグさんに送りました。
鬼頭:いや~、すごい。
平山:ただ、なかなかお返事が来なかったんです。なので、ちょっと私もどうしたことかと思って、えいや!とアウェーの松本山雅対ヴァンラーレ八戸戦に行きました。八戸まで休みを取って自費で行ったので、その熱量がたまたまJリーグさんの耳に入って、「それだったらちょっとやってみるか」という流れになりました。私としてもびっくりですし、ありがたいところでしたね。
ヒデ:WEリーグ後のJリーグはなかなか大変だったんじゃないすか?
平山:WEリーグは地上波で、完全に「AC 長野パルセイロ・レディース」という県内チームを応援する実況でした。ですが、DAZNだと両チームを公平に実況しないといけません。松本山雅は2年間しっかり見てきたけれど、初戦の大宮は1ヶ月の詰め込みだったので、すごく難しかったですね。
ヒデ:どれぐらい時間かけるんですか?ニュースもあるから、プライベートがないぐらいの忙しさでしょ?
平山:「受験生を超える夏を過ごそう」を自分の合言葉にしていました。
ヒデ:素晴らしい。それはもう「東進ハイスクール」で採用されるべきだ。この人がパイオニアになるべくしてなったと分かりました。
応援団で身につけた声
鬼頭:長野県のリスナーから。「地元SBCの平山さんがゲストと聞いてメールしました。先日の実況を聞きましたよ。男性アナと遜色ない実況に感動。普段のラジオで見せる平山さんとは全く違う一面を見ました」というメッセージが来ています。ヒデ:他にも来てますよ。「女性初の実況と知って、鳥取からDAZNで松本対大宮の試合を見ました」。そういうことがきっかけで、観ようって方が増えるわけですよ。これは嬉しいじゃないですか。「声がちょうど良いトーンで聞きやすかったし、初めての実況にしては、選手の名前を間違えなかったのがマジ良かった」
平山:ありがたいです…。
ヒデ:女性特有の高い声が金切り声に聞こえちゃうのを避けなきゃいけないという話を聞きます。やはり、そこは意識されました?
平山:私も不安だったんですが、意識したというよりかは、蛇口から水が出てくるようにではないですけど、湧き出てくる野生の声といいますか。私は学生時代に応援部に所属していたことがありまして。
ヒデ:どういう活動するんですか?
平山:男性の学ランを着て、3メートルの赤色のハチマキを巻いて。「うっす!」「お願いしゃーす!」みたいなのをやっていました。そこで身についた声が出ました。なので、中学校の友達からも久しぶりに連絡をもらったんですが、「応援部出てたね」って言われました。
周りの弊社の社員も「声をスポーツ用に作ってたね」「低い声で頑張ってたね」と言ってくださったんですが、熱血ディレクターだけは「いやいや、これ平山の素でしょ?いつもが着飾ってるだけでしょ?」って…(笑)。
サッカーのDNAはあった?
ヒデ:お父様が島原商業高校出身で、小嶺忠敏さんの下で優勝してるんですって?平山:そうなんですよ。
ヒデ:俺、試合観てますよ。島原商業の黒と白の縦縞のユニフォーム。お父さんおいくつ?
平山:父は56歳です。父が1年生の時、ちょうど小嶺先生が国見高校に異動された年で、兼任して島原商業も見ていたということです。
ヒデ:じゃあサッカーはそんなに遠いスポーツではなかった?
平山:家ではよくテレビでサッカーを観ていましたし、弟もやっていました。ですが、私は「サッカーって何人でやるんですか?」っていうところから始まりました。
なぜアナウンサーに?
鬼頭:なんでアナウンサーになろうと思ったんだろう?平山:元々は東京でOLをしようと思って就職活動をしていました。表現する仕事にはすごく興味はあったんですけど、自分には絶対無理だなと思って。ですが、たまたま卒業する2ヶ月前に欠員があって弊社の募集が出ました。挑戦しないのは後悔するかなと思って応募して、縁をいただきました。
ヒデ:なるほどね~。
鬼頭:パイオニアになりましたね。
熱い信州ダービーで実況を
ヒデ:J3には、松本山雅だけじゃなくて長野パルセイロがありますね。長野パルセイロと松本山雅の試合を「信州ダービー」っていうんですか?平山:そうですね。
ヒデ:激アツじゃないですか。ほんとに負けたくない…って感じがある。ゆくゆくは、そのダービーの実況をされたいですよね?
平山:チャンスがあれば、その熱い試合を熱く。
ヒデ:熱い試合を心の中は熱く、でも冷静に実況してほしいと思います。
アスルクラロ沼津の印象は?
ヒデ:静岡県にもJ3のアスルクラロ沼津があります。何か印象はありますか?平山:後半に強い印象ですね。得点数は前半の3倍ぐらい後半に多い。後半から川又堅碁選手や斎藤学選手の2人が出てくるのがすごく怖かったです。
ヒデ:勉強してるな~。
平山:昨シーズン2023年、沼津にはやられてまして。4対3の打ち合いだったんですが、最後に沼津の森夢真選手に逆転弾の4点目をズドンと決められました。インタビューは森選手に「おめでとうございます」と。内心はものすごく悔しかったです。
サッカー界のパイオニアに
ヒデ:今後の夢は?平山:まだ0.001歩目を歩み出したくらいなので、まずはDAZNを見てくださってる方のサッカー観戦が少しでも豊かになるように、実況に磨きをかけていきたいです。
今はあまりにもおこがましいのですが、いつかなでしこジャパンの実況、日本代表の実況をすることを夢として堂々と言えるように頑張っていきたいと思ってます。
ヒデ:女の子たちの夢の一つに、新しいジャンルを作ってくれました。サッカーを途中で諦めても、こういう道でサッカーを伝えられるんだ、サッカーに携われるんだという女の子たちも出てくるでしょう。
サッカー大好き芸人、ペナルティ・ヒデと、サッカー中継のリポーターとしても活躍する鬼頭里枝の2人がお送りする番組。Jリーグから海外サッカー、ユース世代、障がい者サッカーなど幅広くスポットを当て、サッカーを通して静岡を盛り上げます。目指すは「サッカー王国静岡の復権」です!