台風10号で墓が被害を受けた静岡市清水区の寺の復旧を後押ししようと「東海大静岡翔洋」が生徒たちによる募金活動などを始めました。
なぜ翔洋が寺を支援するのか、その背景には、戦時中の“ある恩”がありました。

<LIVEしずおか 滝澤悠希キャスター>
「清水区の鉄舟寺です。被害が大きかった場所は現在も立ち入りが禁止されていて、今もほぼ手つかずの状態となっています」
「鉄舟禅寺」通称「鉄舟寺」は、台風10号による土砂崩れで51基の墓が被害を受けました。
墓石を動かすには、まず真横の斜面の補強作業をする必要があり、復旧にかかる時間や費用の見通しは立っていません。こうした状況の中、同じ静岡市清水区にある「東海大静岡翔洋」が立ち上がりました。
「募金お願いします」

寺の復旧費用として活用してもらおうと、有志の中高生が毎朝校内で募金を呼び掛けているほか、学校として義援金も受け付けています。
<募金呼び掛けた生徒>
「復興のために、私たちの力が少しでも役立てばいい」
では、なぜ翔洋が鉄舟寺の支援に乗り出したのでしょうか?

<LIVEしずおか 滝澤悠希キャスター>
「こちらは、『建学の歌』と呼ばれる学校を象徴する歌の歌詞です。ずっと歌い継がれているものなんですが、その中には『鉄舟寺』という言葉があります」
つながりは、今から80年前にさかのぼります。東海大学の前身の航空科学専門学校は、戦時中の1943年、現在の静岡市清水区に開校。

苦学生も多い中、鉄舟寺は、敷地の一部を「寮」として提供していました。
「先輩たちが助けられた分、今度は助ける側に」。翔洋の支援の背景には、寺への“恩返し”の思いがあるのです。

<実家が東京の生徒>
「自分たちも寮がなかったら東海大静岡翔洋に来ていなかった。その分恩返しっていう意味でできてすごくうれしく思う」

<東海大静岡翔洋 小曽根龍介教諭>
「食べるものも住むところもない状態で鉄舟禅寺が宿を提供してくれた。80年の時を超えて、未来に向かって新しい関係を築いていければ」
翔洋の善意に寺の住職はー。

<鉄舟寺 世永天山住職>
「お金を被害復興に使わせていただき、私たちもいずれは違う形で恩を返していけるよう努めていければ」